【特別対談】佐藤寿人×大久保嘉人が語る“エースの条件”。ふたりが絶賛したプレーヤーは?

2020年08月31日 サッカーダイジェスト編集部

得点に対して誰よりも責任を背負えるか

オンラインで実現した特別対談。同世代で、親交の深いふたりのトークは大いに盛り上がった。(C)J.LEAGUE PHOTOS

 8月24日発売のサッカーダイジェストでは、「エースの条件」と題し、現役選手や元日本代表らにエースに必要な素質、能力などを考えてもらい"J歴代最強エース"を選出してもらっている。ここでは、J1での歴代通算得点1位(185点)の大久保嘉人(東京V)と、歴代通算得点2位(161点)の佐藤寿人(千葉)の、特別対談の一部を紹介。同世代のふたり(ともに1982年生まれで、早生まれの佐藤がひと学年上)による、"エース論"は示唆に富んでいる。

――◆――◆――

――さておふたりに訊きたいのは"エースの定義"です。

佐藤
「自分がエースだと思うことは少なく、エースというのは周りの人に呼んでもらうものかなと感じます。ただ、やっぱり苦しい時に点を取れる選手を指すんじゃないかなと。得点に対してチームで誰よりも責任を背負えるか。あとは1シーズン結果を残しただけで、エースと評すのはどうかという想いもあります。ひとつのクラブで点を決め続け、サポーターらに『この選手が取ると盛り上がる!』と認めてもらってこそエースだと」

大久保
「間違いないね。苦しい時に点を取る、そして決め続ける。1、2年じゃ足りない。やっぱり何年も結果を残し続けないとエースとは呼べないよね。その点、寿人さんは正真正銘のエース。ここぞという時の決定力は高いし、寿人さんが点を取るとチームが『これは行けるぞ』と活気づくからね」

佐藤
「広島時代はエースと呼んでもらえて、責任は感じていたよ。嘉人はフロンターレでエースとして頼られ、神戸でも得点以外のところを含めて与える影響は大きかった。一緒にプレーした(02年の)セレッソでもエースだったんじゃないかな。

 エースのもうひとつの要素に挙げられるのは、『この選手に取ってほしい」という期待を集められるか。自分で責任を背負うことも大事だけど、外からの目も重要。そういう意味では"エース"は周囲が作り出すものかもしれない。でも最近は簡単にエースという言葉を使いすぎだと思うんですよ。少し結果を残した選手をエースと捉えがちだけど『いや、そんな軽いもんじゃないでしょ』と」

 
――そう易々となれるものじゃないと。

佐藤 
「それこそ去年、自分が(下部組織出身でプロ1、2年目を過ごした)千葉に戻って、久々にゴールを決めた時、メディアにエースって書いてもらったんですよ。でも『違うんじゃないかな』という感覚で。個人的にはジェフのエースはリスペクトを含めて(所属5年目の)船山(貴之)ですよ。そういう意味でエースという言葉の使い方が軽くなっているのかなと。そう感じない?」

大久保 
「まさに、だね。エースって簡単になれるもんじゃないから。いやいやそんな甘いもんじゃないよと」

――新加入が呼ばれるのは違うと。

佐藤 
「やっぱりそのクラブでどれだけの結果を積み重ねてきたかですよ」

大久保 
「もうその通り」
 

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