青森山田に新たな有望株が台頭!中学校サッカーフェスティバルMVPのDF山本虎が目指す“高校デビュー”

2020年08月19日 松尾祐希

4試合で15得点・1失点の圧倒的な強さで大会を制覇

大会では圧巻のパフォーマンスを見せた山本。青森山田高での活躍も期待できそうだ。写真:松尾祐希

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で夏の全国中学総体は中止。中体連のチームに残された公式戦は一部の地域を除いた全国各地のリーグ戦や年末のU-15高円宮杯しかない。

 現状をなんとか変えられないか――。

「東京はTリーグが中止になったので、U-15高円宮杯しかありません。ただ、トーナメント戦なので負ければ終わり。公式戦がほとんどない状態で3年生は引退してしまうかもしれません。公式戦が全てではないとは思いますが、なんとか試合の機会を作ってあげたかったんです」(修徳中・吉田拓也監督)

 子どもたちに戦いの場を提供したい――。そうした想いを抱える中体連の指導者たちの意向を汲んだ人たちが新たな大会を企画。感染対策などに細心の注意を払った上で"全国中学校サッカーフェスティバル"の開催に漕ぎ着けた。

 静岡県の裾野市などで8月15日から17日にかけて行なわれた大会のレギュレーションは2回総当たりのリーグ戦方式。当初は8校で行なう予定だったが、現状を鑑みて、過去に全中を5度制している青森山田中、昨年の高校サッカー選手権で初の単独優勝を収めた静岡学園高の中等部、昨年の全国中学総体で初出場を果たした修徳中の3チームで大会が開催された。また、大会中は株式会社 SPLYZAの提供でアプリを用いた試合分析を行ない、チームの垣根を超えた意見交換会を実施。指導者だけでなく、選手たちもオンラインミーティングで試合を振り返るなど、今後につながる取り組みにもトライした。

 そんな全国の強豪3校が集まる中で、大会を制したのは青森山田中だ。初日に静岡学園中を4−0、修徳中を5−0で撃破。2日目も静岡学園中を6−1で下した。最終日の修徳中戦は対策を施され、相手の堅守を崩せずに苦戦を強いられる。しかし、粘り強く戦ってスコアレスドロー。青森山田中は準優勝の修徳中(1勝1分2敗)、3位の静岡学園中(1勝3敗)から勝点を積み上げ、4試合で15得点・1失点の圧倒的な強さで優勝を飾った。

 今大会を振り返り、青森山田中の上田大貴監督は「今大会が開催できたことにすごく感謝をしています。選手たちも普段戦えないチームと大会形式で競い合えたので充実した3日間になりました」と関係者に感謝の意を伝えながら、子どもたちの頑張りに目を細めた。
 

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