【日本代表】現役イタリア人監督が敗因分析「本田と香川が遠く離れた4-3-3に疑問」

2015年01月25日 ロベルト・ロッシ

サイドからの崩しのバリエーションは多くなかった。

中央を固めたUAEに対し、日本の攻撃はサイドからが中心に。しかし、シンプルなクロスを送って跳ね返されるばかりだった。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 ボールポゼッションが「68.1対31.9」、総シュート数が「35対3」、コーナーキックが「18対0」というスタッツが示す通り、日本は相手にほとんどチャンスを与えることなく試合を支配し、少なくない決定機を作り出した。
 
【マッチレポ|日本 1(4PK5)1 UAE】
 
 唯一最大の問題は、にもかかわらずたった1点しか得点を挙げられなかったことだ。決定機を手にした武藤、豊田、香川らがひとつでも決めていれば、試合は日本の勝利に終わっていた。そして内容から見れば、それが最も妥当な結果だった。
 
 しかし、どんなに良い試合をしても、ゴールを挙げなければ勝利を手にすることはできない。この試合は、そのシンプルな真理を改めて日本に突きつけるものになった。
 
 日本は試合のほとんどの時間を敵陣での攻撃に費やした。開始7分という早い時間帯に失点したことも理由のひとつだが、両チームの実力差からすれば、いずれにしても日本が主導権を握って戦う展開になっていただろう。
 
 UAEは8~9人をボールのラインよりも後ろに戻して自陣の低い位置に守備ブロックを構築、最終ラインの背後にスペースを作らず、バイタルエリアもきっちり埋めてきた。
 
 そのため日本は、裏のスペースへの走り込みやコンビネーションによる中央突破といった得意とする攻め手をあまり使わせてもらえず、比較的スペースのあるサイドから攻撃せざるを得なくなった。
 
 両サイドバックの攻撃参加で攻撃に幅を作り出し、右サイドは酒井と本田、左サイドは乾(後半は武藤)と長友の連携で、サイドのスペースを深くえぐる場面は少なからず作った。ただ、そこからペナルティエリア内にボールを送り込んでフィニッシュに結びつける崩しのバリエーションは、それほど多いとはいえなかった。
 
 最も多く使われたのは、サイドからのシンプルなクロス。しかし、ヘディングが強いセンターフォワードや、タイミングよく縦に走り込んで頭で合わせるセンスを備えたMFがいるわけではなく、高さでもフィジカルコンタクトでも相手に分があるという状況で空中戦を挑むのは、あまり割がいい攻め方とはいえない。
 
 それでも武藤、豊田などがフリーでヘディングシュートを打つチャンスを得たが、強さ、精度ともに十分なフィニッシュができなかった。
 
 左サイドの長友は、ゴールラインぎりぎりからドリブルで侵入してマイナスのクロスを折り返すというプレーを再三狙い、数多くのコーナーキックをもぎ取った。前述のように日本のコーナーキックは全部で18回、さらにサイドからのFKも数回あった。これだけ多くセットプレーの機会を得ながら、ほとんどは単純に中央に蹴り込んでヘディングでクリアされるという結果に終わったのは、いささか残念だった。
 
 空中戦で分が悪いことは最初からわかっているのだから、もう少し別の形でこうしたセットプレーのチャンスを活かすための工夫があってもよかったと思う。アギーレ監督は就任から半年足らずで、まだそのために十分な時間を得ていないのだろうが、これが日本にとって今後の課題のひとつであることは間違いない。
 
【ゲームPHOTOギャラリー】

次ページ本田と香川が絡んでの中央突破がほとんどなかった。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事