「川崎に近いけど、もっと細かいスタイル」大久保嘉人がヴェルディを選んだ理由と大先輩の指揮官に抱く想い

2020年01月21日 松尾祐希

国見高の先輩である永井監督の存在も決め手のひとつに

新体制発表会で緑のユニホームに袖を通した大久保。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 プロ20年目を迎える稀代の点取り屋が"名門復活"を期す首都のクラブで新たなスタートを切る。

 1月20日、東京ヴェルディが新体制発表会見を行なった。2020年シーズンの決意を表明する場で最も注目を集めたのは、ジュビロ磐田から完全移籍で加わった大久保嘉人だ。

 J1通算185得点、国際Aマッチ60試合・6得点。鋭い得点嗅覚を持つストライカーは、これまで日本サッカー界のトップを走ってきた。代表レベルでは04年のアテネ五輪に出場し、10年と14年にはワールドカップを経験。クラブレベルでは13年から3年連続でJ1得点王とベストイレブンを受賞している。新加入選手の中では実績が頭ひとつ飛び抜けている存在だ。

 ジュビロ磐田でプレーした昨季はリーグ戦・20試合の出場で1得点に終わったものの、高い技術や駆け引きの巧さ、サッカーに懸ける情熱は衰えていない。では、なぜ大久保は新天地に"ヴェルディ"を選んだのか。新体制発表後の囲み取材でその理由をこう話した。

「サッカーのスタイル。非常に魅力的なサッカーをしていた。スタイルは川崎に近いけど、もっと細かい。勉強になるし、みんなも楽しくやれている印象がある。本当に全てが細かい。それが大事になってくる。それをやれれば、圧倒して勝てるチームになると感じた」

 東京Vは昨季途中から指揮を執る永井秀樹監督の下で、攻撃的なサッカーを展開している。ボールを保持しながら、個人技とコンビネーションを織り交ぜた崩し。そうした方向性に大久保も共感し、緑のユニホームに袖を通した。

 また、国見高の先輩でもある永井監督の存在も決め手のひとつ。記者会見では指揮官から「2020年シーズン最初の練習試合に1500人以上のお客さんが来てくれました。隣にいる大久保嘉人様のおかげかもしれませんが、昨シーズンの4か月で積み上げたサッカーが皆様に期待を持たせられた賜物だと思っています」と、冗談を飛ばされるほどの気心知れた間柄だ。

 大久保はオファーを受ける前に永井監督と直接話しており、ふたりの恩師である小嶺忠敏氏(現・長崎総合科学大附属高監督)からも「永井は大丈夫だ。あいつはしっかりしているから間違いない」と太鼓判を押されたという。「僕からすれば大先輩。印象と言われるとなんと言っていいのか分からない(笑)。大先輩のためにも貢献したい」と大久保は指揮官への想いを語りつつ、「ゴールは取れるだけ取りたい」と新天地での躍動を誓った。
 

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