「高円宮杯ファイナルMVP」の看板は軽くない!青森山田DF箱崎拓を駆り立てるモチベーション

2020年01月04日 安藤隆人

「責任が増したからこそ、この大会でより成長しないとMVPが輝かない」

青森山田のDF箱崎(4番)は強さと高さを併せ持つセンターバック。強豪校のブロックを勝ち抜くうえで不可欠な存在だ。写真:浦 正弘

 2連覇に向けて、初戦の米子北との一戦を6−0で制し、好発進を見せた青森山田は3回戦でも4つのセットプレーをゴールに繋げ、4−1でインターハイ準優勝の富山一を下し、ベスト8に駒を進めた。

 2試合で10ゴールの攻撃に目が行くが、青森山田と言えば堅守あってこその強さ。今年の最終ラインを束ねるのは、2年生の藤原優大と3年生の箱崎拓のCBコンビで、この不動の2人が優勝を手にした高円宮杯プレミアリーグ EAST、ファイナルと続く流れを切る事なく伝統の堅守をピッチで表現している。

 藤原は昨年度の選手権を経験しているが、箱崎にとっては今大会が初の選手権のピッチ。青森山田の厳しい環境の中で、ずっと思い焦がれていたピッチに最終学年で立てたモチベーションは非常に大きかった。

「高円宮杯は1年を通じての戦いで、リーグ戦の雰囲気のままにファイナルに乗り込めましたが、やっぱり選手権は観客も凄いし雰囲気が全然違う。昨日の初戦は試合が始まる前、すごく緊張していたのですが、ピッチに立ってみるとこの最高の舞台でまた強くなった青森山田のサッカーを見せられるんだと思っただけで、緊張よりもワクワクが大きくなりました」

 他の大会とは一線を画す独特の雰囲気を初めて味わったが、これまで幾多の激戦をくぐり抜けてきたからこそ、浮き足立つことはなかった。それに彼にとって今大会は、果たすべき大きな責務がある。高円宮杯ファイナル・名古屋グランパスU-18戦において、箱崎はMVPを獲得した。

「今までは優大に任せてしまう部分もあって、自分の中で情けなく感じることもありました。その中で自分がMVPという賞を頂いたことで、当然周りから見る目も変わりますし、チームから求められることも変わってくる。責任が増したからこそ、この大会でより成長しないとMVPが輝かない。誰もが『この選手が(MVPに)相応しい』と思ってもらえるような選手になりたいと思っています」

 プロ注目の藤原は間違いなく頼りになる存在だ。しかし、『真のユース年代日本一』を決める試合でMVPに輝いた自分が、いつまでも甘えるわけにはいかないし、その賞のステータスをより上げないといけない。もともと真面目で実直に努力が出来る彼の心に新たな火が灯った。
 

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