5つの視点から読み解くバルサの問題点――このまま「その他大勢」に成り下がるのか【現地発】

2019年12月25日 エル・パイス紙

バルサのフットボールから独特の魅力が失われた

桁違いの決定力を見せ続けているメッシ。依存度は増すばかりだ。(C)Getty Images

 ペップ・バルサがアブダビで6冠の偉業を達成してから、ちょうど10年の歳月が経過した。ヨハン・クライフが持ち込んだアイデアをジョゼップ・グアルディオラが具現化させ、ポジションチェンジ、ボールポゼッション、プレスを基盤にしたそのフットボールは連動性、ダイナミズム、モダンさ、攻撃マインドに溢れていた。

 そしてそのプレースタイルをもっとも体現していたのが中盤の選手たちだった。しかし時代は流れ、ジェラール・ピケ、リオネル・メッシ、セルヒオ・ブスケッツといった当時のチームの唯一の生き残りメンバーもベテランの域に突入。彼らをはじめとした主力の高齢化に伴い、パススピードとプレーリズムが低下し、バルサのフットボールから独特の魅力が失われてしまった。

●トリデンテ
 今シーズンからルイス・スアレスとメッシとともに前線のトリデンテを形成しているのがアントワーヌ・グリエーズマンだ。ドリブルの突破力は不足しているものの、味方、相手の動きを察知し、空いたスペースに走り込む能力においては右に出る者がいない。

 さらに守備の献身性も兼ね備え、メッシとルイス・スアレスが前線に留まりプレスバックを免除されているバルサにおいて、その貢献は欠かせない。しかし1人の頑張りでは限界があり前線からボールを奪いに行ってもプレスが連動性を欠き、それは後方の選手たちの守備の負担増となって跳ね返っている。エルネスト・バルベルデ政権が誕生してからの過去2シーズン、15、16と推移していた敵陣でのボール奪取数が今シーズン14(チャンピオンズ・リーグに限定すると11)に減少しているのはその必然の結果である。
 
●守備力の低下
 プレスの連動性が低下すれば、ラインは間延びする。加えてチーム全体の運動量が落ちているためスペースが広がれば広がるほど、ボールへの反応がワンテンポ遅れ、パスを回されるとなかなかインターセプトできない。先のクラシコでも敵の中盤のトニ・クロースやフェデリコ・バルベルデに何度もそうした弱点を突かれた。

 ラ・リーガでの1試合当たりの失点1.18は過去10年でワーストの数字だ。近年、戦術面においてトリデンテにかかる比重が大きくなる一方だが、それはまたバルサのフットボールの主役を担ってきた中盤のプレゼンスの低下の裏返しでもあるのだ。

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