今季ブンデス「0」ゴールの鎌田大地。それでも監督が重宝し、クラブが契約延長を望む“実力派”へと変貌している【現地発】

2019年12月26日 中野吉之伴

ELアーセナル戦での2発は強烈なインパクトを与えた

チームは苦しい状態が続いたが、鎌田は起用され続けた。(C) Getty Images

 ブンデスリーガは年内の日程を終了し、再開は来年1月18日となる。

 そんななか、現地12月15日に行なわれたブンデスリーガ第15節のフランクフルト対シャルケ戦(0-1)で鎌田大地に話を聞くことができた。鎌田はベンチスタートだったが、試合後に、実は自分から言い出したことを明かしてくれた。

「今日はもう、まず朝に監督と話をして。僕自身が監督に『(身体的に)スタートからはできない。残り30分くらいならできる』と言いました」

 その時点で、今季の公式戦28試合に出場していた鎌田の身体には、どれだけの疲労がたまっていたことだろう。普通に出場しても相当の負荷がかかるブンデスリーガという強度の高いリーグで、フランクフルトは特に高負荷のサッカーを志向している。

 他クラブと比べても走行距離、ハイスピードでの走行頻度、スプリントの回数が要求される。さらに、そんなフランクフルトの中でも中盤3枚の活動量は半端ない。けれど、鎌田はどんな試合でも弱音を吐かず、文句も言わずに、懸命に走り抜こうとする。

 ちなみに、11月に行なわれたヨーロッパリーグ(EL)グループリーグのホームでのスタンダール・リエージュ戦後には、こんなことを言っていた。「今年、ブンデスリーガで最初のブレイク入るまでは、体中でいろんなところ痛みがあった」のだという。

「すべてのプレーの強度が上がった。今まで足の裏とか靴ずれとかしたことがなかったんですが、今年はスプリントの回数や、ほかの動作の強度が上がったためか、経験することになりましたね。腰が痛くなったりも。今は、うまく切り抜けながら、今は強度に慣れてきたように感じています」

 走って戦うだけではない。攻撃の形を作り出すために起点となる動きができ、機を見てゴール前にも飛び込んでいく。フランクフルトには現在13人ものMFの選手がいるが、そのすべてを高いレベルでこなすことのできる選手はほとんどいない。

 だからこそ、フランクフルト指揮官アディ・ヒュッター監督から鎌田への信頼は厚い。シャルケ戦では本来、後半15分すぎから出場予定だったはずが、後半5分すぎには交代の準備に呼ばれていた。

 思っていたよりもアップする時間がなく、「うまくウォーミングアップができず、ミスも多かったし、(ゲームへの入りは)いいものではなかった」と鎌田自身は反省していた。だが、少しドタバタの交代になってしまったものの、これはヒュッターがすぐにでも鎌田を起用したいという思いの表れでもある。そして、それは今シーズン、彼が披露し続けてきたパフォーマンスが、総じて高かったからこそではないか。

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