【中国戦|戦評】可能性を示した遠藤、森島、上田の“東京五輪世代トリオ”。一方で空中戦は警戒していたはずなのに…

2019年12月11日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

サプライズのひとつが、遠藤、森島、上田のハイパフォーマンス

遠藤(7番)と森島(14番)らが好連係を見せる。今大会の攻撃の軸にもなりうる。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[E-1選手権2019]日本2-1中国/12月10日/釜山九徳スタジアム

 日本代表は12月10日、E-1選手権の初戦で中国を2-1で下し、白星スタートを切った。選手のほとんどが試合の3日前まで国内のリーグ戦を戦い、ようやく集合した2日前はコンディション調整にとどめ、実質練習できたのは前日のみという過密なスケジュールを考慮すれば、それなりに評価できる内容だったのではないか。

 もちろん試合のリズムがコントロールできていない点や技術的なミスなど粗さも目立ったが、それでも好材料は見えた。

 この試合のサプライズのひとつが、遠藤渓太、森島司、上田綺世のU-22代表トリオのハイパフォーマンスだろう。

 この日、森保一監督は3-4-2-1システムを選択。前半から日本は、中国の激しいチャージを受けながらも、テンポの良いパスワークで中国ゴールに迫った。そこで際立っていたのが左サイドの崩し、具体的に言えば、ウイングバックの遠藤、シャドーの森島、そしてそこに1トップの上田が絡むコンビネーションだった。
 
 森島が俊敏な動きで敵陣のスペースでパスを受けると、相手を引き付けながら、ワイドに張った遠藤へと展開。そこから遠藤が縦へと切り込み上田へとクロスを供給する。あるいは、上田がワンタッチで森島か遠藤に展開し、そこから前向きで仕掛けていく。そうしたテンポの良い攻撃が一度のみならず、何度も見られた。

 実際に29分の先制点もこの3人の働きから生まれている。遠藤が左サイド目一杯に張って中央のスペースを作り出すと、そこに引いてきた上田が、佐々木翔からの縦パスを巧みにヒールでフリック。そのボールに反応していた森島がドリブルでエリア内に侵入し、鈴木武蔵のゴールを呼び込むクロスを上げたのだ。

 流れるようなパスワークはこの日のハイライトと言えるだろう。

 アシストを決めた森島自身も、この3人のコンビプレーに手応えを抱いている。

「ボールを握る時間は少なかったですけど、そういうシーンは何回か見せられましたし、もっと時間が経てば出来ると思う。そこは擦り合わせですね」

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