16歳でU-23チームに飛び級! 日本代表にも牙を剥いたチェルシーの俊英FWハドソン=オドイ【プレミア逸材名鑑】

2019年11月03日 内藤秀明

コンテ体制末期に光を与えた俊英

これまでに数多くの名手を輩出してきたチェルシー・アカデミーの最高傑作との呼び声が高いのが、このハドソン=オドイだ。 (C) Getty Images

 2017-18シーズンのプレミアリーグ第25節、チェルシーが本拠地にボーンマスを迎えた一戦は、チェルシーのファンにとって良くも悪くも忘れられない試合となっている。

 当時のチェルシーは、イタリア人監督アントニオ・コンテ体制の2年目だったが、チームには停滞感があった。前シーズンの見事なプレミア制覇が嘘のように、このシーズンはアルバロ・モラタを含め、攻撃の担い手たちのパフォーマンスが一向に上がらなかった。

 12位だったボーンマスを迎えたこの試合も、チームのマンネリ感を象徴するような展開となる。前半から拙攻が目立ち、なかなか得点を挙げられずにいると、51分に先制を許したのだ。

 少しずつスタンフォード・ブリッジに暗雲が立ち込めていくなか、一筋の光となったのが、当時17歳のカラム・ハドソン=オドイだった。

 61分にピッチへ送り出され、プレミアデビューを飾ったアカデミー出身の俊英は、スピード感に溢れたドリブルと柔軟なタッチで次々とチャンスを演出し、精彩を欠く前線を活性化させた。

 結局、試合は0-3で敗北を喫したものの、生え抜きのティーンエージャーが披露したパフォーマンスはクラブの未来に希望を抱かせるインパクトがあり、何より目の肥えたブルーズ(チェルシーの愛称)のファンたちを唸らせた。
 それから約2年――。今シーズンのハドソン=オドイは、今年4月に負ったアキレス腱断裂の影響で出遅れたが、9月25日のグリムズビー戦(リーグカップ)で復帰してからはスタメンに定着。1ゴール・4アシストと目に見える結果を残し、フランク・ランパード新政権下でも、サイドからの積極的な仕掛けで違いを作り出している。

 まだ18歳ながら名門チェルシーで主力級となった逸材は、どのような環境で育ち、その才能を開花させたのだろうか。

 ロンドン南部に生まれ育ったハドソン=オドイは典型的なサッカー少年だった。

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