「トップ下+ストライカー」南野拓実はなぜゴールを量産できるのか【小宮良之の日本サッカー兵法書】

2019年10月17日 小宮良之

グリエーズマンの特長はファーポストでのゴールが多い点

日本代表ではここ4試合で5ゴール。南野が攻撃を牽引する。(C)Getty Images

 フランス代表エースとしてロシア・ワールドカップで優勝したアントワーヌ・グリエーズマン(バルセロナ)は、セカンドストライカーとして世界で一、ニを争う選手と言えるだろう。

 ドリブルで持ち込み、決定的なパスを繰り出し、コンビネーションからゴールに迫れる。プレースピードに優れ、前へ押し出すような凄みを持っている。シュートの形は、多彩だ。

 利き足の左足で巻くようなシュートだけではない。GKとの1対1も得意。トップスピードのまま、ボールを思うままにコントロールできるだけに、意表をつける。また、右足でも、ヘディングでも、得点できる。

 グリエーズマンは、ゴールに対する集中力が際立って高い。最初に、シュートの選択肢を探している。セカンドボールに対しても、怠らずにポジションを取れる。
 
 特筆すべきは、ファーポストでのゴールが多い点か。相手のマークから逃げるような動きに長けている。スペースを認識する能力に優れ、密集地帯に飛び込まず、自分がシュートするスペースを必ず担保できている。相手を釣る動きをすることで、外側でフリーになれるのだ。

「DESMARQUE」

 スペイン語で「マークを外す」という戦術的な動きに抜きん出ている。

 プロデビューを飾ったレアル・ソシエダで、グリエーズマンはすでに非凡な選手だった。しかし勝気さもあって、ニアに突っ込む癖があったという。

「ファーで準備しろ」

 そういうアドバイスを受けたことで、ファーポストでの得点が劇的に増えたそうだ。

 森保ジャパンで最多得点を挙げているFW南野拓実(レッドブル・ザルツブルク)はグリエーズマンと、プレースタイルが似ているかもしれない。

 ゴールに対する意識が高く、それに必要なスキルも持っている。利き足は右足で違うが、シュートに行くタイミングなどは通じる。反転が速く、シュートに持ち込むスピード、インテンシティーは特長的。トップ下的な選手でありながらも、同時にストライカーの匂いを漂わせる。

 そしてクロスに対して、呼吸を合わせ、マークを外す術にも長ける。
 

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