近年はより“金の卵”が集まる大会に!U-17W杯で強豪との3連戦に挑む日本代表の勝算は?

2019年10月05日 松尾祐希

「組織的なプレーやコンビネーションプレーが得意な選手が多い」とは指揮官の言葉

U-17日本代表を率いる森山佳郎監督。強豪との対戦を歓迎するコメントを残した。写真:松尾祐希

 今回で18回目を迎えるU-17ワールドカップは若手の登竜門として知られている。日本で開催された1993年大会に中田英寿(元ローマほか)が出場。1997年大会ではロナウジーニョ(元バルセロナほか)がブラジルの優勝に貢献し、カシージャス(元レアル・マドリーほか)やシャビ(元バルセロナほか)がスペイン代表としてプレーした。フェルナンド・トーレス(アトレティコ・マドリーほか)やアンドレス・イニエスタ(神戸)も2001年大会に参戦しており、大会を経験したスター選手の名を挙げれば、枚挙にいとまがない。

 近年はクラブ事情でU-20ワールドカップを回避する選手も多いため、よりU-17ワールドカップに"金の卵"が集まる傾向が強い。前回大会を制したイングランドの面々を見ても、既にハドソン・オドイ(チェルシー)らがチャンピオンズ・リーグやプレミアリーグで活躍している。16強入りを果たした日本も、現在A代表で活躍する久保建英(マジョルカ)やU-22日本代表の菅原由勢(AZ)が右肩上がりで成長中だ。世界的に見てもU-17ワールドカップの注目度は高く、新星たちの見本市と言っても過言ではないだろう。

 欧州のスカウトたちも目を光らせる2年に1度の祭典に、日本も2大会連続で出場する。前回の16強入りを超える成績を収められるのか。10月4日に発表された21名のメンバーはどんなサッカーを見せてくれるのか。彼らの戦いぶりに興味は尽きない。

 今回のチームの特徴は一言で表わすのであれば、組織力に秀でた集団だと言えるだろう。2大会連続でチームを率いる森山佳郎監督が「前回は個人でより高いレベルを目指せという方向性で戦ってきた」と明かす通り、2年前の大会は久保、中村敬斗(トゥエンテ)、宮代大聖(レノファ山口)など攻撃陣に個で勝負できる選手がずらりと揃い、守備陣にもCB小林友希(町田)やGK谷晃生(G大阪)などの圧倒的なタレントがいた。


 一方で今回のチームは、飛び級で今年5月のU−20ワールドカップに出場したFW西川潤(桐光学園/セレッソ大阪入団内定)やガーナにルーツを持つ大型GK鈴木彩艶(浦和レッズユース)がいるものの、ひとりで局面を打開できる選手が少なく、守備でも高さに恵まれた選手が不在。そのため、オフェンスはテンポの良いパスワークとコンビネーション、ディフェンスは組織力に活路を見出してきた。「サッカーへの理解があって、組織的なプレーやコンビネーションプレーが得意な選手が多い」とは指揮官の言葉。彼らの良さを最大限に引き出すためのチーム作りを進めてきたなかで、昨秋のU-16アジア選手権では見事に優勝し、ワールドカップの出場権を最高の形で勝ち取った。

 そのチーム方針は今回のメンバー選考にも現われている。立ち上げ当初から主軸を務めてきたボランチの成岡輝瑠(清水エスパルスユース)や、主将を務めるCBの半田陸(モンテディオ山形ユース)はその代表格と言える存在だ。そこに昨秋以降に台頭した選手をミックス。中盤と最終ラインをハイレベルにこなす技巧派MFの藤田譲瑠チマ(東京ヴェルディユース)、圧倒的な速さを持つFW若月大和(桐生一/湘南ベルマーレ入団内定)、攻撃力が武器のSB畑大雅(市立船橋/湘南ベルマーレ入団内定)など、その個性を組織の中で発揮できる選手をチームに組み込んだ。

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