【名古屋|広島戦 戦評】初陣でフィッカデンティ体制が心配になった理由

2019年09月29日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

守備を整備した手腕は称賛に値する

名古屋のフィッカデンティ監督は初陣となった広島戦をドローで終えた。(C)SOCCER DIGEST

[J1リーグ27節]広島 1-1 名古屋/9月28日/Eスタ

 9月23日に風間八宏前監督との契約解除とマッシモ・フィッカデンティ監督の就任を発表した名古屋は、新体制の下で28日に広島と対戦し、1-1のドローとした。残留を争うなかでの勝点1は、初陣としては最低限の結果だろう。

 前監督の下では攻撃的なサッカーを志向していたが、フィッカデンティ監督は短い準備期間のなかで守備を整備した。システムは4-3-2-1を採用し、4バックと3ボランチで自陣ゴール前に統制された守備ブロックを構築。そのバランスは崩れることなく、ディフェンス面の出来は称賛に値する。
 
 プレス強度は弱めで、4バックと3ボランチのラインが乱れることはほとんどなかった。「前から行こう。受ける時は受けよう。前から行く必要があるなら全員で行こう。受けると決めたら受け切ろう。とにかくチームでひとつとなって戦う」というフィッカデンティ監督の指示通り、守備のまとまりは相当にあった。
 
 名古屋のポゼッション率は41%で、シュート本数は広島の10本に対して名古屋はわずか3本。数字が示すように、実際には「受け切った」。それでも、流れのなかからは、そこまで決定的なピンチを作らせなかった。

 DF中谷進之介は「負けなかったことが良かったと思います。まだまだ僕たちは残留に向けて勝点を積み重ねないといけない。負けなかったことが良かったです」と言う。そのコメント通り、残留争いで絶対不可欠な"手堅さ"は、フィッカデンティ監督の下で手に入れることができたと言えるだろう。

 それでも、初陣でフィッカデンティ体制への不安が、どうしても拭えない。その理由は奇遇にも対戦した広島が過去に似たようなチーム作りで、限界を露呈した経験があるからである。

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