風間グランパスの終焉…独特すぎる攻撃偏重スタイルはなぜ大成しなかったのか?

2019年09月23日 今井雄一朗

名古屋が風間監督の退任を発表。後任は“堅守速攻”のイメージが強いフィッカデンティ氏に

名古屋に攻撃的なスタイルを植え付けた風間監督。しかし、3年目の今季、途中退任となった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 9月23日、名古屋グランパスは風間八宏監督を解任し、後任にFC東京や鳥栖で指揮を執ったマッシモ・フィッカデンティ氏が就任すると発表した。2017年シーズンから発足した風間体制は3年の契約期間を全うすることなく終焉を迎えたわけだが、両監督の残してきた実績からすれば180度のスタイル転換という印象の強い指揮官交代劇である。

 小西工己社長は9月21日のファン感謝デーの場で報道陣に「このスタイルは継続していくつもりか」と問われ、「解任報道とは別の話として、グランパスはそういうことです」と発言していたが、この点においても今後のチーム方針の推移には目を凝らしておく必要がある。つまりそれは守備的とされるフィッカデンティ監督就任が堅守速攻スタイルへの転換を意味するのか、それともまずは残留争いに巻き込まれた現状への対症療法なのかという観点があるからである。
 

 独特にして攻撃偏重の風間監督のもと、約2年半を戦ってきた名古屋は"名古屋の風間スタイル"を確立しつつはあった。「相手ペナルティエリアに8人が入っていても普通になってきた」と豪語する攻撃時の迫力は確かにリーグ屈指のものがあり、それはここ10戦で1勝3分、勝点6しか得られていない中ですら示してきた、彼らの特徴でもあった。11人のメンバーすべてがボール保持に自信を持ち、敵陣に押し込んだうえで自分たちもゴール前に迫っていく攻撃は、SBの宮原和也が4得点をゴール前で挙げていることからもいかに分厚くペナルティエリアを攻略していたかが分かる。

 単純なロングボールを嫌い、クロスさえも二の次の手段としてボックスの3辺を攻め落とすことに心血を注いでいた集団は、好調時にはあらゆるチームをも圧倒する破壊力を示してもいた。課題と言われる守備面も、攻撃が循環している時には敵陣での攻撃とボール奪取を繰り返す美しさがあり、とりわけ今季の序盤戦は優勝候補の筆頭に見られるほどの評価をされる場合すらあった。

次ページ風間スタイルは名古屋に何を残したのか?

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事