南葛SCの歩みを知る“熱きFW”が語る!「間違いなく近い将来Jリーグに入るクラブだと思います」

2019年09月25日 伊藤 亮

「1敗したことに対して敏感になってしまった部分は大きい」

インタビューに応じてくれた冨岡。4年前にチームに加入し、現在まで主力として在籍。写真:滝川敏之

 漫画『キャプテン翼』の原作者、高橋陽一氏が代表を務めるリアル"南葛SC"の東京都リーグ1部での戦いは、第13節を終え暫定6位。関東リーグ昇格を争う関東社会人サッカー大会への出場権を獲得することは叶わなかった。
 
 だが、リーグ戦はまだ終わっていない。成長と結果の両方を求め続ける今シーズン。何を得て、何が課題として見えているのか。歩みを止めないチームにとって、残りの試合も非常に重要な糧となる。そして「チームの歩み」を教えてもらうのに最適な選手がチームにいた。FWの冨岡大吾は、南葛SC設立2年目、東京都リーグ3部の時代からチームの前線で身体を張ってきた選手だ。
 
 冨岡の目から見たこれまでの南葛SCと現在の南葛SC。その2つを語ってもらうことでこれからの南葛SCが見えてくる。3回にわたる特集、その第1回は、現在の南葛SCについて話してくれた。
 
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 2019年シーズンのチームに、冨岡大吾は確たる手応えを感じていた。
「間違いなく現場のレベルは昨シーズンに比べて上がりました。プロ契約の選手も増えて、練習の日程も増えて、あとは現場が結果を出すだけだったんです」
 
 南葛SC在籍5シーズン目。しかし、いざリーグが開幕してみると、これまでに経験したことのない違和感に包まれていることに気付く。
 
「対戦相手の"打倒南葛"という意気込みが凄かったんです。自分たちは受けてしまっていたわけではないんですが、同じ都1部の試合でも昨シーズンとは違う雰囲気が試合中にありました。それをいまだにずるずる引きづってしまっているというのが正直な感想です」
 
 開幕戦の相手、明治学院スカーレットはこのシーズンより都2部から昇格したばかりのチーム。初対戦でかつ相手の情報もない。相手のサッカーがまったく読めない中で、点を奪うものの失点もしてしまい、「よくない流れというか、ちょっと変な雰囲気というか」乗り切れない印象の試合で引き分けてしまう。
 
 象徴的だったのが4節の駒澤大学 GIOCO 世田谷戦だ。こちらも都2部から昇格してきたばかりの大学生チームに、0-2でシーズン初黒星を喫する。
 
「昨シーズンは運動量では相手に負けない、という前提がベースとしてありました。試合をしていても、後半になると相手の方が先に体力が落ちてくる。でも今シーズンはGIOCOのような学生チームが加わってきて、運動量で上回るのが難しくなりました。相手はよく動き、自分たちのサッカーを徹底してくる。一方自分たちは選手同士の距離感もよくなく、コミュニケーションもなかなか取れず、やりたいことが何もできずに負けた印象でした」
 
 じつは、南葛SCは昨シーズンも同じ第4節に敗戦を喫している。しかし、シーズンを通しての敗戦はその1試合にとどまった。
 
「昨シーズンも同じタイミングで負けていたと思うのですが、今年は"絶対優勝しなければいけない"シーズンとしてスタートしているので、1敗したことに対して敏感になってしまった部分は大きいかと思います」

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