台風被害の千葉に勇気を――ジェフが水戸戦で届けた希望とメッセージ

2019年09月15日 石田達也

最後まで耐え抜いて勝利を掴む

試合後にはメッセージを掲げてサポーターへ挨拶した選手たち。試合にも勝利した。(C)J.LEAGUE PHOTOS

 J2の32節で水戸と対戦した千葉は、FWクレーベの2ゴールで2-1と、7試合ぶりの勝利を収めると同時に、攻守で粘り強く戦い、サポーターに勇気と元気を届けた。
 
 9月9日早朝に千葉市付近に上陸をした台風15号の影響は大きく、千葉県内では家屋などの倒壊、停電や断水、そして通信障害など甚大な被害を受けた。
 
「先の台風で南房総の人たちが被災をされて心からお見舞い申し上げます。(被災地に)選手の何人か、我々スタッフも足を運ばせてもらい、予想していた以上に被災の大きさを率直に感じました。その中でサッカーをやらせてもらい、ボールを蹴る子どもたちの楽しい顔を見て、逆に勇気をもらいました。試合前のミーティングでも『我々はもっとやらなければいけないことがあるんじゃないか』と、選手に話をしました」
 
 江尻篤彦監督は試合後、そう選手を鼓舞してピッチへと送ったことを明かす。
 
 試合は攻守で拮抗した戦いの中で、水戸に先制されるも、クレーベの2ゴールで逆転。その後は相手の反撃を死力を尽くして凌ぎ、リードを守り切った。
 
 試合当日の朝まで自身の身体と向き合い、満身創痍ながらもスタメンとしてチームを背中で引っ張ったキャプテンのMF佐藤勇人は「(この試合では)千葉県民のパワーをもらいました」と話し、「千葉県は色々な被害を受けていたので、この試合は自分たちで何とか結果を残さないといけないという気持ちが強かったです」と心情を口にした。
 
 また地元・市原市出身のMF工藤浩平も「実家の方は大丈夫でした。ただ僕らはサッカーを頑張るしかないので、勝てたことが良かったです。ピッチに立ったならば責任をもって、しっかりしたプレーをしなければいけない気持ちでした。今日は、みんなの力で勝ったと思います。サポーターも大変な状況の中でスタジアムに集まってくれましたし、(試合終了の)笛が鳴る前は、とても声が大きくて後押ししてくれました」と感謝を忘れなかった。
 
 この日の結果は、被災地に少しでも明るい話題を届けたいという一心で、最後の最後まで身体を張って耐え抜いたことが勝利につながったとも言えるだろう。
 

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