あだ名は「エンジニア」!? ”フィジカルモンスター”・オルンガが、知られざるキャリアを語る

2019年08月13日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

原点はストリートサッカー。ケニアでの飛躍のきっかけは――。

8月8日発売号のサッカーダイジェストで、オルンガがインタビューに応えてくれた。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

※本記事のインタビューは7月24日に実施

 昨季のJ1後半戦、報道陣の間でよく訊かれる言葉があった。

「オルンガって何者?」
 
 昨年8月に加入し、ミカの愛称で親しまれたストライカーは、23節の磐田戦でデビューを飾ると、24節の長崎戦で初ゴール。28節の浦和戦では日本代表の槙野智章をものともしない"モンスター級"のフィジカルを発揮し、足もとの技術の高さも見せつけた。
 
 ケニア人初のJリーガーは、チームメイトから「真面目」と評される。昨季は徐々に注目度を上げたが、10試合中先発は4試合、3ゴールという成績でJ1初挑戦は終わった。
 
 戦いの舞台がJ2に移った今季、25節終了時点でチームトップの8得点。本領発揮しつつある大型ストライカーは一体、何者なのか。オルンガの稀有なキャリアを辿りながら、ケニア人FWの真髄をインテリジェンス溢れる言葉から探っていく。

――――――

 オルンガの生まれた1994年は、ストリートサッカー出身のロマーリオが、大会MVPに輝く活躍でブラジルをアメリカ・ワールドカップ優勝に導いた年だった。サッカーが大好きな父の下でオルンガも育った。

「気づいた時にはサッカーに熱中していました。アフリカではサッカーができる環境が整っていなかったから、僕の原点もストリートサッカー。そこは、ブラジルに通ずる部分があるかもしれませんね」
 メキメキと実力をつける一方で、「高校の成績は良かった」と文武両道を貫き、13年にケニア技術大に入学。同時にケニア1部リーグのタスカでプロキャリアをスタートさせた。

「タスカは12年にリーグ優勝をして、経験豊富な良い選手がたくさんいました。そんなクラブでプロになれて嬉しかったけど、なかなか先発では出られなくて。

 でも翌年、ティカ・ユナイテッドに移籍して、10ゴールを挙げた。中堅クラブだったけど、自分の知名度が上がったのはその頃かな。

 おかげで15年には国内で人気があるゴールマヒアに加入できて、そこで力を出せた。28試合で19得点を決めて年間MVPに輝き、初の代表招集もその年。チームも無敗でリーグ優勝した。

 もちろん、大学での勉強も続けていたよ[編集部・注/地理空間工学を学び、工学士の資格を取得]。僕を応援してくれるサポーターは、そんな文武両道な僕の姿勢を評価してくれて、『エンジニア』というあだ名をつけてくれたんだ」

「勉強熱心で、頭も良いんですね」と投げかけると、ミカは「たぶんね」といたずらっぽく笑った。

次ページ海外挑戦の真相。「実は15年シーズンの途中から…」

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事