「今は本当に正しかったのかなって思う…」神戸への電撃移籍を決めた飯倉大樹から溢れ出た“マリノス愛”

2019年07月27日 羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb)

「本当に眠れない…」と自問自答の日々を告白

ヴィッセル神戸への移籍を決めた飯倉が、その胸中を明かした。 写真:滝川敏之

 トリコロール一筋のキャリアを歩んできたベテランGK飯倉大樹は今夏に一大決心を下した。7月26日にヴィッセル神戸への移籍を決めたのだ。

 9歳で入った下部組織時代も含めれば、実に20年以上のキャリアを横浜F・マリノスで培ってきた飯倉。今シーズンは朴一圭の台頭もあってリーグ戦で5試合の出場にとどまっているが、神戸への移籍は驚きだった。実際、SNSでのクラブの公式発表には、「辛く悲しい別れ」や「まだ心の整理がつかないよ」といったファンのコメントが数多く寄せられている。

 周囲を驚かせた移籍について本人はどういう想いを抱いているのか? 27日に開催されるマンチェスター・シティとの親善試合に向け、横浜の一員として最後の練習を日産スタジアムで行なった飯倉を直撃した。

 ミックスゾーンで記者から囲まれた飯倉は、「やめよう。泣きそうだから……。いや、記者会見でなく奴の気持ちが分かるなぁ」とポツり。さらに感慨深げに横浜でのキャリアを振り返った。

「長かった……。育成から20年以上やってきて、こんな日が来るんだなぁって。プロ生活では15年くらいマリノスでやっていますけど、良くも、悪くも、本当に色々な記憶がある。でも、皆さんに良い、悪いと言ってもらえて本当に幸せだった。退場したり、ミスったり、前に出すぎだと言われたり、シゲさん(松永成立GKコーチ)と喧嘩をしたり、ここでのプロ生活っていうのは、ほんとに色々な経験をさせてもらったという気持ちですね」
 
 並々ならぬ横浜への愛情を口にした"ハマの守護神"。では、なぜ神戸移籍を決めたのか? 「10人から20人ぐらいには相談した」という飯倉は、オファーをもらった際の率直な気持ちを明かしてくれた。

「少し語弊があるかもしれないけど、本当に自分だけで決めたわけじゃないというか。俺だけで考えていたらやっぱり行けなかった。このオファーを貰った時に色々な先輩とかチームメイトに相談したし、その時の色んな言葉が俺を押してくれて、決断することができた」

 それでも、今も胸の内には迷いがある。飯倉はこう続けた。

「今はマリノスの選手として、それが本当に正しかったのかって思う。毎日、自問自答しているし、『眠れないって本当にあんの?』ってよく思っていたけど、本当に眠れない……。でも、サッカー人生が終わった時に、常にチャレンジしたとか、大切な仲間が近くにいてくれたっていうことが大事だと思う。だから今は毎日寂しさがあるけど、そんななかでも、チャレンジすることを選んだ」

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