「イニエスタやシャビに匹敵」U-21欧州選手権を制したスペイン代表メンバーの評価が急上昇中【現地発】

2019年07月09日 エル・パイス紙

バルサのカンテラ出身の無名選手が…

U-21欧州選手権で躍動したフォルナルス(左上)、ダニ・セバジョス(右上)、ダニ・オルモ(左下)、ロカ(右下)。一躍注目を浴びる存在に。(C)Getty Images

 ウエストハムのマヌエル・ペレグリーニ監督は、今冬が終わる頃、ひとつの疑問を抱いていた。プレミアリーグを代表する名スカウトたちの誰もが声を揃えてその才能を称賛するパブロ・フォルナルスが、どうしてビジャレアルで活躍できないかを。これは他の多くのプレミアのスポーツディレクターも共有していた思いだった。

 当時、フォルナルスはポジションを失うほど低空飛行を続けていた。ペレグリーニはかつての教え子であるサンティ・カソルラに直接電話をかけて意見を求めた。

 ここ10年間、サッカー界を代表するインサイドハーフとしての名声を得て、スペイン代表でアンドレス・イニエスタやシャビと一緒にプレーし、プレミアで実績を残し、なおかつビジャレアルでフォルナルスと1年以上、ロッカールームを共有しているこのベテランはまさに格好のアドバイザーだった。

 カソルラの答えは極めてポジティブなものだった。「フォルナルスの才能はイニエスタやシャビといったスペインが輩出した名インサイドハーフに匹敵する。そのポテンシャルに疑いの余地はない」

 そのフォルナルスのウエストハムへの移籍が6月14日に発表された。移籍金は3000万ユーロ(約37億5000万円)。とはいえ、ビッグネームの移籍報道がメディアを席巻するなか、このニュースは完全に隅に追いやられ、さしてファンの関心を引くことはなかった。フォルナルスがU-21欧州選手権のグループステージのベルギー戦とポーランド戦、そして準決勝のフランス戦で立て続けに大活躍を見せるまでは……。

 そのわずかの間にフォルナルスの株は急上昇し、いまでは欧州中のビッグクラブが逃した魚の大きさに頭を抱える事態となっている。
 
 それほどフォルナルスの活躍は鮮烈だったわけだが、彼だけではない。ダニ・セバジョス、マルク・ロカ、ファビアン・ルイス、ダニ・オルモ、さらには"ファルソ・ヌエベ(偽の9番)"として新境地を開いたミケル・オジャルサバルといった他のチームメイトも、一様にこの大会を通して評価を急激に上げた。

 とりわけ、無名の存在から注目を浴びているのがダニ・オルモだ。バルサのカンテラを退団し、ディナモ・ザグレブ(クロアチア)に新天地を求めたのは今から5年前の2014年夏。その間培ってきた実力をアピールする場と位置付けて臨んだ、彼のこの大会への意気込みは当初から特別なものがあった。

 その思いが実るかのように、準決勝のフランス戦と決勝のドイツ戦でそれぞれ1ゴールずつ上げる活躍を大仕事をやってのけた。移籍金4000万ユーロ(約50億円)前後で、ビッグクラブによる争奪戦はすでヒートアップの様相を呈している。
 

次ページジダンから冷遇され続けた男が鬱憤を晴らす

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事