【コパ・アメリカ総括】「良い経験だけで終わらせてはいけない」川島永嗣や森保一監督の言葉から紐解く収穫と課題

2019年06月28日 本田健介(サッカーダイジェスト)

ウルグアイ戦で見せた森保ジャパンの真骨頂

ウルグアイ戦では2度のリードを奪うなど奮闘。優勝候補に推される相手を追い詰めた。(C)Getty Images
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 あと一歩。ただそれが大きな差なのかもしれない。

 日本が国際Aマッチで一度も勝利を挙げたことのない南米の地は、やはり鬼門だった。1999年以来、2度目の出場を果たしたコパ・アメリカで、チリ、ウルグアイ、エクアドルと対戦した森保ジャパンは、2分1敗の成績でグループリーグ敗退。目標だった南米での初勝利にはまたも手が届かなかった。
 
 ただし、すべてがネガティブな結果だったかというと、そうではない。少なくとも今後の森保ジャパンの転機にはなる大会になったのではないか。
 
 森保一監督も「チリ戦は0-4の完敗でしたが、ウルグアイ戦(2-2)、エクアドル戦(1-1)は勝てる可能性が大きくあったことは自信にしていこうと選手には伝えました。一方で(スコアは)ほんの少しの差ですけど、そこには大きな埋めなければいけない差があり、力をつけるという意味では、厳しくそれぞれが成長しなくてはいけないとも話しました」と大会を総括する。
 
 確かにぶっつけ本番に近かったチリ戦は、序盤こそ奮闘したが、大会連覇中の王者に決定力の差を見せ付けられて完敗。もっともここからが、森保ジャパンの真骨頂だった。続くウルグアイ戦へ中2日と準備期間が短い中で、チームとしての約束事を整理し、選手たちも自信を持って臨んだのだ。
「やるしかないという感じでした。ラインが下がってしまったチリ戦に比べて、皆で強気に守れました。チリ戦の反省をしっかりチームとして修正できたのが大きかったです」(杉岡大暉)と、ウルグアイ戦ではチャレンジ&カバーを徹底し、前からの組織的なプレスも敢行。CB植田直道のシュートブロックがVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)によるやや可哀そうな判定でPKとジャッジされ、後半にはCKからホセ・ヒメネスに見事なヘッドを決められて2度のリードを守れなかったが、エディンソン・カバーニ、ルイス・スアレスを擁するウルグアイに果敢に挑んだ。
 
 また攻撃面では「チリ戦ではチャンスを作れたという想いは共有していました。だからこそ、そこはいけると思ってプレーしていました」(三好康児)と、ショートカウンターを軸に、中島翔哉の突破力、柴崎岳のパス能力を活かしつつ、三好が流れの中から2ゴール。勝ち切れなかった点は課題だが、攻守にアグレッシブに戦っただけに、今後の指標となるゲームと言えただろう。
 

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