「3バック構築のトライはいい。ただ…」熟練の英国人記者が森保ジャパンを斬る!

2019年06月07日 マイケル・プラストウ

娯楽性に欠けた「大胆なテスト」

新システムでさらに増大したのが1トップ大迫への負荷。サポートを受けられない場面が多々あった。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 なんとも娯楽性に欠けた、物足りない内容のゲームだった。
 
 日本代表がどれだけ攻勢を仕掛けてチャンスを生み出そうが、ゴールはどんどん遠のくばかり。トリニダード・トバゴ戦が行なわれた豊田スタジアムのチケットは完売していたと聞く。ファンが支払った代金に見合ったパフォーマンスを示したとは、とうてい思えない。
 
 本来ならあのような大胆なテストは、練習場でこなしてほしい。現実的にその時間がないから強化試合で試したのだろうが、お粗末にすぎる90分間だった。
 
 酷い出来だったのは確かながら、収穫がなかったわけではない。オプション探索は重要なアプローチだ。それにトライし、大いに空回りした。監督と選手たちはそれなりの手応えを口にしていたわけで、ネガティブにばかり捉える必要はない。
 
 水曜日のゲームの最大のポイントは無論、森保ジャパンで初めて導入された3バックの出来映えだった。もちろん、指揮官・森保にとっての"初"ではない。むしろサンフレッチェ広島時代に代名詞としていたシステムであり、彼はそれを駆使してJリーグを3度も制している。青山敏弘を経由して、深い位置を起点とした鋭いカウンターが特徴的だった。佐藤寿人や浅野拓磨のダイナミックな走りで、ものの見事に敵の裏を取っていたのが想起される。

 
 だが、今回の森保ジャパンのアプローチはすいぶんと異なっていた。キャスティングが違うのだから当然だ。カウンター志向ではなく、どの方向からでも攻め込む、連続的な攻撃を仕掛けるための選手起用が見て取れた。大迫勇也に佐藤や浅野のように自由に走り回る役割など、求めるべくもない。
 
 いったいどうして、3バックをテストするに至ったのだろうか。
 
 ひとつには、ずっと採用してきた4バックシステムに問題はない、もはや十分に計算が立つと指揮官が判断したからだろう。これからも4バックが基準型と見て間違いない。いまのうちにオプションを増やしておきたいと考えるのは、チームの成長過程における自然の流れだ。

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