【U-20W杯】無念の離脱…斉藤光毅の怪我が持つ”意味”とは何か?

2019年06月01日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

衝撃を受けたSBSカップ。

SBSカップで斉藤は好パフォーマンス。屈強なDFにも当たり負けしなかった。写真●茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 5月31日、U-20ワールドカップに参戦中の日本代表から斉藤光毅が負傷離脱した。筆者の大いなる期待も無念に変わってしまった瞬間である。
 
「この選手は大化けする!」
 
 そう固く信じたのは2018年8月20日、SBSカップ・U-18日本代表対U-18パラグアイ代表(●1-2)でのこと。初めて斉藤のプレーを見て、身震いするほどの衝撃を受けた。
 
 ゲーム序盤、日本がパラグアイに押されたが、斉藤はスペースへの抜け出しから起点を作り、劣勢の状況を変えていく。徐々に正確なポストワークで日本を勢いづかせると、33分には右サイドの深いエリアに走り込み、ゴール前の宮代大聖へ折り返しのボールを送って決定機を演出した。前半、斉藤が繰り返した動き出しは間違いなく効いていた。
 
 ポテンシャルを感じさせたのは、それだけではない。斉藤はリズムを掴んだ後半、最終ラインの背後に抜けるだけでなく、少し中盤に落ちて足下でボールをもらうようになったのだが、その受け方が絶妙。屈強なパラグアイ人CBのチェックを巧みな動きで外し、狭いスペースで何度もボールを呼び込んだ。さらに、仮に身体を当てられたとしても、上手くボールを隠しながらキープして、ドリブルからチャンスに絡んだ。
 パラグアイ戦後に語られた、影山雅永監督の斉藤への評価はこうだ。
 
「あの小さな身体でボールをしっかりとキープできる。そして、2トップがお互いを見ながら降りる、出る、その距離感を保ちながら非常に良いパフォーマンスをしてくれたと思います。日本人は身体が小さくてフィジカルが…なんて言われ方をしますけど、あの身体でしっかりと屈強なDFを抑えて、そして自分がボールを扱うスペースを作って、相手から遠い足でキープすれば、全然関係なくできるんだと。そういうものをしっかりと世に示す良いサンプルなんじゃないかなと思います」
 
 この言葉通り、173センチ・67キロと小柄だが、サイズの不利を感じさせない動き出しとボールスキルに確信を持った。もっと高いレベルで活躍できる選手だ、と。

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