【現地発】「偉大なリーダー」ゴディンは、なぜ愛するアトレティコと決別したのか?

2019年05月14日 エル・パイス紙

ピッチ内外でキャプテンシーを発揮

ファンからも同僚からも愛されたゴディン。アトレティコに別れを告げ、インテル移籍へ――。(C)Getty Images

 アトレティコ・マドリーのウルグアイ代表DF、ディエゴ・ゴディンが今シーズン限りで退団することが決定した。

 2010年夏にビジャレアルから加入して以来、9シーズンに渡って公式戦を通じて388試合に出場し、27得点を記録。ラ・リーガ1回、ヨーロッパリーグ2回、コパ・デル・レイ1回、UEFAスーパーカップ3回、そしてスーペルコパ1回の優勝に貢献した。

「27ゴール」という数字が示すように、15歳までアタッカーだったという得点力を活かし、攻撃面でも貴重な働きを披露。最大のハイライトは、13-14シーズンのラ・リーガ最終節、勝点3差で迫る2位バルセロナとの対戦で叩き込んだヘッド弾だ。優勝を賭けた大一番で、1点ビハインドの展開から決めた、チームを18年ぶりのリーガ制覇へと導く同点ゴールだった(結果は1-1)。

 さらに同じシーズンのチャンピオンズ・リーグ決勝のレアル・マドリー戦でも、前半に同じくヘディングから先制ゴールをマーク。後半ロスタイムのセルヒオ・ラモスの得点がなければ、クラブ史上初のビッグイヤー獲得のヒーローになっていたはずだった(試合は延長戦の末に1-4で敗戦)。
 
 もちろん真骨頂は、ウルグアイ人特有の激しさを前面に押し出した守備にある。長年の間、最終ラインの要として君臨し、ファンを熱狂させ続けた。ワンプレーたりとも手を抜かない姿勢は練習でも不変で、相手を畏怖させるタックルや、迫力ある掛け声はチームメイトも驚くほどだったという。

 風格溢れる存在感とキャプテンシーでロッカールームでもリーダーとして振る舞い、戦う姿勢やプロ意識の高さはチームにも大きな影響を与えた。とりわけアントワーヌ・グリエーズマンとは彼の娘の名付け親になるほど結びつきが強く、昨夏にこのフランス人FWの移籍騒動が勃発した際にもその存在が残留決断への決め手のひとつになった。

 現在、グリエーズマンには再び去就問題が浮上しているが、ロッカーの隣に尊敬する先輩がいなくなったことが、彼の心を移籍に傾かせたとしても不思議はない。
 

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