公務員からプロ指導者へ異例の転身! ジェフ千葉U-18の朝岡隆蔵新監督は市船時代に培った指導力をどう活かすのか?

2019年05月09日 平野貴也

「市立船橋以外の高校で監督をするイメージは、持てなかった」

高校選抜の欧州遠征から帰国後、さっそく千葉U-18での指導に勤しむ朝岡監督。市立船橋高以外の高校では指導するイメージを持てなかったとも語っている。写真:平野貴也

 Jクラブとしても、ひとりの指導者としても、注目される人事が行なわれた。昨季まで市立船橋高校の監督を務めた朝岡隆蔵監督(42歳)が、今季からジェフユナイテッド市原・千葉アカデミーU-18Aの監督に就任することが発表されたのだ。

 
 朝岡監督は、3月末に母校の監督を退任後、日本高校選抜を率いて欧州へ遠征。4月24日に帰国後、ジェフ千葉U-18の指導にあたっている。5月9日、クラブハウスで取材に応じ、新たな挑戦について「公務員は転勤もある。今後、5年、10年と同じ現場にいることはできないと思ったし、(母校である)市立船橋以外の高校で監督をするイメージは、持てなかった。ジェフは、千葉出身の私にとって一番身近なプロクラブ。(ユース年代同士でも交流があり)練習も試合もよく見ていただいている。その上でオファーをいただいたので、名前(や成績)だけでないところで評価してもらったと理解し、タイミングの(難しい)ところはあったが、引き受けた」と決断の背景を語った。
 
 Jクラブの場合、OBがアカデミー(育成組織)の指導者を務めることが多く、高校の強豪校から監督を迎えることは珍しい。また公務員の職を辞してプロ指導者に転身する事例も、決して多くない。朝岡監督に数年前から打診していたことを明かした千葉の高橋悠太GMは、自選手が通う学校との連係や寮などクラブとしてアカデミー全体のインフラ整備が進んでいる手応えがあるなか、さらに前進するために「ひとつはネームバリュー(と実績)があり、選手や親御さんが信頼できること。もうひとつは、選手をトップチームに輩出するために、どんな選手でなければならないか、(成長のために)どんな要素が必要かということを把握していること」と新監督決定の方針を定め、朝岡監督にオファーした経緯を説明した。
 
 クラブOBではなく、外部から招へいする形になったことについて、高橋GMは「クラブのOBも含めてリストアップした中で行き着いた」と断ったうえで「特にアカデミーの世代は、精神的な成長も大きい。(朝岡監督が教職員として)学校で生徒を身近で見て来た経験は、今、すごくジェフには必要。最終的にジェフのエンブレムを付けて絶対に活躍するという思いを持つ選手をより多く育てるには、いろいろな経験が必要。プロクラブで働いてきたという以外の部分も、なんとなくジェフには足りていないと感じていた。人間的、精神的にも強い選手を育てるうえでは、多くのクラブ、選手を見て来た経験は必要だと感じていた」と朝岡監督が中学、高校、街クラブと様々な環境で指導してきたキャリアと、そこで培った指導力を評価したことを明かした。
 

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