ボリビア戦は本当に収穫が少なかったのか?好印象を残した鎌田や橋本の存在は"手応え"と言っていいはずだ

2019年03月28日 清水英斗

たしかに、普段やっていない選手と連係するのは難しいが…

不慣れなCFにも徐々に対応した鎌田のプレーは収穫のひとつだろう。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 クラブと代表は、似て非なるものだ。
 
 代表チームの活動期間は短く、練習も試合も少ない。また、対戦相手は南米、アジア、欧州、アフリカなど、バラエティー豊かだ。スタイルが全く違う。今回、コロンビアのFWラダメル・ファルカオからコメントがあったが、彼らからすれば、「日本と韓国のサッカーは似たスタイル」だと言う。我々自身は違うと感じているが、世界の途方もない広さからすれば、同じグループに分類されるのだろう。
 
 それだけに代表チームで戦うときには、普段のリーグでは全く見たことがない類の選手、あるいは戦術を持ったチームと、対峙する覚悟が必要になる。その未知の試合に、いかに早くフィットするか。それは代表選手として、最もベーシックな資質と言っても過言ではない。
 
 森保監督はキリンチャレンジカップの2試合で『全員起用方針』を貫いてきた。招集した選手は、第3GKを除き、全員をピッチに送り出す。しかも、アディショナルタイムの数分とか、ケチなことは言わず、スタメンからドーンと出す。

 このような起用法は、チームのあらゆる場所から意見が出る、全員参加型チームを作るマネージメント上もメリットだが、もうひとつは、上記で言及した『代表選手としてのベーシックな資質』を見る場としても活用できる。
 
 たしかに、普段やっていない選手と連係するのは難しい。普段やっていないポジションでプレーするのも難しい。普段やっていない相手と戦うのも難しい。だが、それを理由に自分のパフォーマンスを出せないとすれば、その選手は代表向きではない。
 
 その意味で、ボリビア戦では何人かの選手が、良いリアクションを見せた。ひとりは橋本拳人だ。前半はビルドアップ時のポジショニングで迷子になる様子があったが、後半、センターバックからの持ち運びが増え、小林祐希(柴崎岳)が一列前へ行くようになると、役割が明確になった。中盤のヘソを担当し、カバーリングやカウンター潰しで機能した。尻上がりに試合にフィットしたことは、代表選手としての資質をアピールしたと言える。

次ページシチュエーションを限定すれば、鎌田は大迫を彷彿とさせるクオリティーを見せる

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