【新連載・東京2020】小川航基/後編「エース候補が抱く東京五輪への想い…強まるのは危機感」

2019年04月15日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

「試合に出ていなければメンバーから落とされる。その危機感は強い」

東京五輪出場の想いを強めたきっかけはU-20ワールドカップの大怪我。「あれをきっかけに代表について深く考えるようになった」という。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 2020年に開催される東京五輪。活躍が期待される注目株の生い立ちや本大会への想いに迫る新連載だ。

 記念すべき1回目は、世代きっての点取り屋・小川航基が登場。桐光学園高ではキャプテンとしてチームを牽引し、16年に磐田でプロキャリアをスタートさせたFWは、17年のU-20ワールドカップで負った左膝の大怪我を乗り越え、昨季はJ1初ゴールを挙げた。徐々にクラブでも存在感を高めている21歳のストライカーはいかにして現在地へと辿り着いたのか――。五輪への意気込みを訊いた後編で窺わせたのは、強烈な危機感だった。
 
───◆───◆───
 
――東京五輪は、ご自身にとってどんな位置付けですか?
 
「ものすごく大きな大会です。自分の人生が変わるくらいに。日本開催なので、誰もが活躍を期待してくれている。自分のゴールで勝たせて、期待に応えたい。そういう意欲はかなり強いです。まずはメンバーに選ばれなければ始まらないし、だからこそ所属チームで結果を残さないといけません」
 
――いつから五輪出場を意識するように?
 
「真剣に出たいと思うようになったのは、U-20ワールドカップで怪我をした時からです(編集部・注/グループステージ2節のウルグアイ戦で左ひざ前十字靭帯断裂と半月板損傷を負う)。すごくショックだった分、あれをきっかけに代表について深く考えるようになったし、ふつふつと沸いてきたんですよ。必ずエースが帰ってきたと思わせたいって想いが」
 
――本大会まで残り約1年4か月。どう過ごしていきますか?
 
「他の選手にとってもそうですが、まずは今季の出来がすごく大事になる。今年で本大会に向けたチームの構成がだいたい固まってくるはずですから。所属チームで試合に出ていなければ、メンバーから落とされる。その危機感は強いです」
 
――五輪を見据えて今年から変えていることはありますか?
 
「トレーニング量を増やしました。それにオフの日もコンディション調整を優先して過ごすようになりましたね」
 
――どんなトレーニングを?

 
「ハイアルチっていう高山トレーニングです。低酸素状態のスタジオでランニングなどをして、あえて負荷をかけるんです。そうすると疲労が溜まりにくい身体になるんですよ。前十字靭帯を怪我してからどうしても足を攣ることが多く、それを改善しようと昨年の10月くらいから通い始めました」
 
――身体が変わってきた実感はありますか?
 
「徐々にスタミナがついてきたのが分かります。怪我から復帰したばかりの時は試合の70、80分ほどで足がピクピクしてしまっていたのに、今はそれがなくなりました」
 

次ページ「綺世は僕にないものを持っている。ただ逆に…」

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事