「イタリア版ペップ」の強いこだわりと柔軟性とは?【独占インタビュー】

2019年03月21日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

「私なりのやり方で勝利を目指している」。

独占インタビューに応じてくれたデ・ゼルビ監督。写真:Alberto LINGRIA

『イタリア版ペップ・グアルディオラ』として注目を集めているのが、今シーズンからサッスオーロを率いるロベルト・デ・ゼルビ監督だ。ポジショナルプレーを基本とした攻撃サッカーを掲げ、格上相手にも一歩も引かない。その戦術的かつ勇敢な戦いぶりには、往年の名将アリーゴ・サッキ、そしてグアルディオラも称賛を惜しまない。
 
 そんなデ・ゼルビ監督の独占インタビューに『ワールドサッカーダイジェスト』が成功。3月20日発売号に掲載中だ。『サッカーダイジェストWEB』では、本誌に入りきらなかったQ&Aを公開する。
 
荻原千佳子氏:あなたの特長のひとつが、相手にかかわらず自分のサッカーを貫くことだと思います。マウリツィオ・サッリ(チェルシー監督)も「デ・ゼルビは40歳の頃の自分よりも勇気がある」と言っていました。ポジショナルプレーを軸とした攻撃サッカーを常に貫いていますよね?
 
「常にそうだ。常にね。『勇気がある』というのは、尊大になるとか、相手チームをリスペクトしないとかという意味ではなくてね。私はトレーニングでも試合でも、常に勝利を目指している。ただし、私なりのやり方で勝ちたいんだ」
 
荻原氏:ただ、ある会見で「ユベントスやインテルと戦うよりも、エンポリやスパルと戦う試合のほうが難しい」と言っていました。その真意は?
 
「スター選手が多い大きなチームは、うちがボールと主導権を握っているとイライラしはじめるからね。その状況に慣れていないからさ。そのうえ、アタッカー陣のプレスも弱い。ほとんどのスター選手はボールを追いかけるのが苦手だからね。でも、ボールと主導権を譲る受け身に慣れている下位チームは、うちのボール回しとポジション移動を寸断する術をよく知っている。その分だけ頭も忍耐も必要になるんだ。だからビッグクラブよりもプロビンチャ(中小クラブ)と戦うほうが、より難しいってことさ」
 
荻原氏:セリエAでも最近は、受け身ではなく積極的なサッカーを展開するチームが増えていますよね?
 
「そうだね。全般的にその傾向はあるだろう。ただ、セリエAには常にプレースタイルの流行がある。例えばコンテがユベントスを率いて成功した時は、コンテの3-5-2を多くの監督がフォローした。でも私は、なぜそのスタイルやシステムを使うのか、どういう利点があるのかを、監督はまず考える必要があると思う。選手にスタイルやシステムを浸透させるには、まず監督がそれを理解して信じる必要があるからね。だから流行にはあまり興味がないな」
 

次ページ「クオリティーに絶対的な真理はない」。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事