【川崎】「前よりもできる自分もいた」期待の20歳・田中碧が証明した特大のポテンシャル

2019年03月11日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

開始4分、鮮やかなスルーパスで先制点を演出

緊急出場となった横浜戦で今季初の先発フル出場。周囲と上手く連係しながら、テンポ良くボールを動かし、中盤を構成した。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[J1第3節]横浜2-2川崎/3月10日/日産ス
 
 2-1のスコアで迎えたラストワンプレーのCK。これを防げば、川崎に勝点3が転がり込むはずだった。
 
 だが、最終スコアは2-2。最後の最後で失点を許してしまう。横浜の扇原貴宏に豪快なヘディング弾を叩き込まれた。競り負ける形となったのは、田中碧だった。
 
「あれがなければ勝てていましたし。自分の責任だと感じています」
 
 悔しさが残るドローだった。"勝点2"を取りこぼす原因を作ったと自分を責めた。
 
 ただ、それで田中の評価が下がるわけではない。むしろ、そのパフォーマンスは目を見張るものがあった。
 
 横浜との神奈川ダービーで、試合直前に急きょ、先発が決まった。当初はスタメンで出る予定だった大島僚太が、左足に違和感を覚えて出場を回避。「もうアップも、円陣も終わってから」というタイミングで、大島の代役を務めることを知った。
 
「準備してなくはなかったですけど」。それでも、少なからず戸惑いや驚きはあったはずだ。スクランブルでの出場となったが、「自分のできることをやればいい、と。自分の力を出すだけだと考えていました」。
 
"持てる力"は、開始早々に発揮される。4分、相手のビルドアップのミスからボールを足もとに収めると、間髪入れずに、前にいるレアンドロ・ダミアンにスルーパスを通す。元セレソンの助っ人は、田中のお膳立てからチームを勢いづかせる先制点をゲットした。
 
 価値あるアシストのほか、ボランチの田中は周囲と上手く連係しながら、テンポ良くボールを動かしていく。パスの強度、身体の向き、ポジショニングを常に微調整しながら、ダイレクトで捌くか、キープしてパスを出すかを的確に判断して、中盤を構成していった。

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