2019年Jリーグの主役はどのクラブ?ベストな「編成」をしたのは川崎と清水だ

2019年02月22日 清水英斗

ゼロックス杯で仕上がりの良さを見せた川崎の準備は万端

L・ダミアン(右)が早速ゴールを決めた川崎とエウシーニョ(左)ら実力者を加えて戦力アップした清水のチーム編成は見事だ。(C)SOCCER DIGEST

 今季のJ1、本命は3連覇を狙う川崎で決まりだろう。新戦力の補強は、野心的かつ、興味深い内容だった。
 
 ブラジルのインテルナシオナルから獲得したFWレアンドロ・ダミアンは、スケールが大きい万能型のストライカー。川崎に無かった空中戦の強さをプラスし、得点パターンを拡充できる。C大阪から獲得したMF山村和也も、フィジカルや高さに優れたボランチであり、川崎の戦い方に新風をもたらす可能性がある。補強のキーワードは、プランBの進化だ。王者の発展は、道筋が描かれている。
 
 また、このような戦略的柔軟性を高める編成は、ACL向きとも言える。川崎は例年スロースターターで、尻上がりに調子を上げる傾向が強いが、今季はゼロックス・スーパーカップの時点で仕上がりの良さを見せた。準備は万端。例年とは雰囲気が違う。厳しいグループに入ったACLでも、好スタートが期待できそうだ。
 

 ただし、ACLで躍進を果たした場合、怪我や疲労が重なり、リーグの勝点を落とすリスクを抱えることになる。特にセンターラインの主力が抜けるのは痛手だ。今季はエウシーニョ、森谷賢太郎、田坂祐介などの計算できる選手が移籍し、ベンチは若手と新戦力の割合が増えたため、主力を欠いた場合の構成がハマらないリスクは多少ある。昨年の守田英正のような存在が台頭すれば理想的だが、それがうまく行かず、ACLとの両立に苦しんだ場合は、2~3位に下がる可能性もある。もちろん、圧倒的な本命であることは変わらないが。
 
 一方、川崎の対抗馬としては、浦和と鹿島の名前が浮かぶ。しかし、どちらも今季の優勝は厳しいのではないか。
 
 浦和はDF鈴木大輔、山中亮輔、FW杉本健勇など、日本代表クラスを積極的に補強した。ただし、ゼロックスを見る限り、その融合には時間を要する可能性が高い。戦術家の監督の場合、チームの出来上がりが早く、相手が対策を打ち始めてから苦労することが多いが、オリヴェイラ監督はそのタイプではない。実戦をこなしながら解決法を探す手法であり、それには時間が必要となる。苦い薬として、勝点を落とす試合も増えそうだ。
 

次ページ名古屋も魅力的な編成ではあるが、上位には推しづらい

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事