「ユベントス内紛」の舞台裏…敏腕経営者は直属の部下に裏切られた

2019年02月13日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

いわば「目の上のたんこぶ」に…。

アニェッリ(左から2人目)&パラティチ(右)とマロッタ(左)の亀裂を決定的にしたのが、18年夏のこのC・ロナウド獲得だった。(C)Getty Images

 ジュゼッペ・マロッタをユベントスから追い出したのは、彼が最も信頼していた片腕、ファビオ・パラティチだった。

 2010年にサンプドリアから引き抜かれてユーベのゼネラルディレクター(GD)に就任したマロッタは、セリエA7連覇に象徴されるユーベ黄金時代を築いた敏腕経営者だ。

 しかし18年9月末、役員としての任期を更新しないという形で、クラブから一方的にその職を解かれた。その背景には、サンプドリアから連れてきた直属の部下であるスポーツディレクター(SD)のパラティチとの間に生じた権力争いがあった。

 パラティチは長年、マロッタの片腕として、補強選手のスカウティングや代理人との交渉など移籍関連の実務を担ってきた。しかし、ユーベの強化責任者としてマスコミの前に出てスポットライトを浴びるのは、常に上司のマロッタ。その状況に対しては、「実際にメルカートの現場を取り仕切っているのは自分なのに、どうしてマロッタばかりが……」という思いを抱いていた。
 
 サンプドリアからユーベに転出して8年間、強化部門のトップとして責任ある立場に立つだけの経験と実績を積み上げてきたパラティチにとって、マロッタは邪魔なだけの上司、いわば"目の上のたんこぶ"になっていたのだ。

 マロッタは、アンドレア・アニェッリ会長に取り入って上司である自分を追い出したのはパラティチだったと信じており、その振る舞いを恨んでいる。「自分が育てた部下に裏切られた」と考えるのは当然だろう。

 一方のパラティチは、「もし自分がいなかったらマロッタはもっと早く切り捨てられていたはずだ」と主張する。パラティチによれば、アニェッリ会長はここ2年ほど、マロッタはGD兼CEO(最高経営責任者)として対外的な顔となっているだけで、チーム強化に関するすべての実務はパラティチが担っていること(これは事実だ)を理解し、もはやユーベにとって不要な存在だと考えるようになっていた。しかし、上司の解任を止めていたのは部下の自分だった、という主張だ。

次ページ2018年夏の移籍案件が決定的な亀裂に。

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