【北澤豪のリーガ見聞録|第3回】例年にない面白さ! 2強以外の「戦略的な戦い」によって上位が混戦に

2018年11月27日 サッカーダイジェストWeb編集部

「分析力」が圧倒的なチーム力の差を埋める。

北澤豪氏が混戦となっている今シーズンのリーガの現状を解説する。 (C)SOCCER DIGEST

 ラ・リーガの現状を、リーガ解説のスペシャリストに訊くインタビューシリーズ『リーガ見聞録』。その第3回には、元サッカー日本代表の北澤豪氏が登場! 今シーズン、上位が混戦となっているリーガのここまでを振り返ってもらった。

―――◆◇――◇◆―――

――まずは、12節を消化したラ・リーガの戦いを振り返っていただけますか?

 近年まれに見る大混戦だよね。(バルセロナとレアル・マドリーの)2強中心と言われてきたリーグだから、展開としてはかなり新鮮。これが"ポジティブな変化"かどうかはシーズン通して見てみないと分からないけど、例年にない面白さがあるよね。もっとも、マドリーのファンからすると、ちょっと足踏み状態が続いていて複雑な気持ちかもしれないけど。

 ただ、この状況が続けば、バルサだってずっと首位でいるのは難しい。メッシは回復したけど、主力数人が故障していて、守備の不安定さも指摘されているし、イニエスタがいなくなったりと、そういう時代の変化が起きている中でどうやって対応していくのか。そこがポイントになるんじゃないかな。


――その2強を追い上げる側で気になるチームはありますか?

 どのクラブも全体的に、すごく戦い方が戦略的になってきているよね。その意味では、監督の重要度というのが、以前にも増して高まってきていると言えるかもしれない。いわゆる中堅以下のチームが強豪と対戦するときって、これまではせいぜい守備を固めてカウンターくらいの感じだったけど、もっとディテールにこだわった戦いが見られるようになってきている。分析が進んで、いろんな場面を想定した対策がなされているから、力の差はあっても、2強が意外な負け方をしたり、上位が混戦になったりという状況が生まれているんだろうね。


――ここまでの戦いを振り返って、もっとも気になるチームは?

 やっぱりバルサってことになるのかな。クラシコをメッシが欠場することになって、意外と"ナンバー2"となるべき存在が見えてこない今のバルサで、だれがチームを牽引するんだろうって心配してたんだけど、そういう状況になれば、ちゃんとスアレスが出てきて、あっさりハットトリックを決めてしまうんだよね。

 このナンバー2に関しては、コウチーニョだっていう人もいるだろうし、ラキティッチだ、ブスケッツだ、っていろんな意見があると思うけど、普段はメッシという巨星の陰に隠れている彼らが、ああいう試合ではちゃんと主役を張ってくれる。改めて、すごい選手が揃っているチームだなぁって感じさせてくれたよね。

 グレミオから移籍してきたアルトゥールなんかも、中盤で細かくパスをさばいている時はまるでシャビだし、左サイドでコウチーニョやジョルディ・アルバとトライアングルを形成している時は、本当にそこにイニエスタがいるかのようだった。

次ページ世界屈指の個性派集団に組織を持ち込んだのがロペテギの過ち。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事