ついにアッズーリの主役へ。ヴェッラッティがチームの“表情”を変える!

2018年11月14日 片野道郎

中盤から質の高い縦パスを送り込む。

10月の2試合でハイパフォーマンスを見せたヴェッラッティ。11月も期待がかかる。(C)Getty Images

 ついにヴェッラッティがアッズーリの主役となる時代が来るのか――。そんな希望を抱かせるに十分なパフォーマンスだった。
 
 去る10月の代表ウィーク、10日にウクライナ(親善試合/△1―1)、14日にポーランド(ネーションズ・リーグ/◯1―0)と戦ったイタリア代表で一際目立ったのが、マルコ・ヴェッラッティだ。
 
 同じ技巧派のジョルジーニョ、ニコロ・バレッラと中盤のトライアングルを形成した小兵MFは、頻繁かつ自在にポジションを入れ替えながらワンタッチ、ツータッチでショートパスを回して相手のプレッシャーをかわし、前線に質の高い縦パスを送り込んだ。
 
 ヨーロッパの頂点を狙うメガクラブで活躍する唯一の若手イタリア人プレーヤーでありながら、26歳を迎えようとする現在まで、ヴェッラッティがアッズーリで主役として輝いたことは一度としてなかった。
 
 2014年のブラジルW杯は、予選のほとんどをベンチで過ごし、直前にレギュラーに昇格して迎えた本番も持ち味を発揮できず、グループリーグ敗退の責任の一端を担う羽目となった。続くEURO16は内転筋の故障により欠場。そして、中盤の要としての地位確立が期待されたロシアW杯予選も、頻繁な故障欠場も相まって完全な信頼は得られず、毎試合のように顔触れが入れ替わるMF陣のひとりに過ぎなかった。
 
 常に期待されながらも、それに応えられないまま、気が付いたら中堅と呼ばれる年齢を迎えようとしていたのが、アッズーリにおけるヴェッラッティだったのだ。
 
 タレント自体に疑いの目を向ける者は誰ひとりとしていない。地元ペスカーラの育成部門で育ち、08年8月には弱冠15歳9か月にして当時LP1(3部)だったトップチームにデビュー。チームがセリエBに昇格した10-11シーズンには準レギュラーとして27試合に出場した。
 
 そして名伯楽ズデネク・ゼーマンに師事した翌11-12シーズンは、キャリアにとって決定的な1年となる。4-3-3のアンカーとして攻撃の組み立てを一手に担い、後にA代表でもチームメイトとなる前線のチーロ・インモービレとロレンツォ・インシーニェに質の高いロングパスを供給。「アンドレア・ピルロの再来」と騒がれ、チームの20年ぶりのセリエA昇格に大きく貢献したのだ。
 

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