【提言コラム】今更ジタバタしても始まらない。西野監督はどんと構えよ‼

2018年06月03日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

「3強1弱」の構図を打ち崩すには…

西野監督はもはや強気なスタンスで臨むべきだろう。そうすれば、選手もついてくるはずだ。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 「できれば攻撃的に」──。これは、5月20日から始まった代表練習で複数の選手から聞かれたフレーズだ。しかし、実際のところ、オフェンシブに戦えるのだろうか。
 
 日本がロシア・ワールドカップのグループリーグで戦うのは、コロンビア、セネガル、ポーランド。同大会での過去の実績で比べても、この3か国に劣る日本は劣勢が予想されるだけに、「組分けに恵まれた」との見方は正直、錯覚だ。
 
 冷静に考えてほしい。世界から見たら、日本はアウトサイダー。ワールドカップで過去ベスト16に2回しか進んだ実績しかない弱小国なのだ。コロンビアのハメス・ロドリゲス、セネガルのサディオ・マネ、ポーランドのロベルト・レバンドフスキといったワールドクラスに匹敵するタレントは皆無。要するに、グループHは「3強1弱」の構図になるわけで、日本が真っ向勝負──つまり攻撃的に戦ったらどんな展開になるかは想像に難くないだろう。
 
 では、グループHで最弱と目される日本に勝ち目はないのか。いや、そんなことはない。サッカーというスポーツにおいて、格下が格上を食うジャイアントキリングは付き物で、その点で日本にもチャンスはある。
 
 「3強1弱」の構図を打ち崩すにはなんといってもコロンビアとの初戦が重要だ。ここで引き分け以上の結果を残せば、状況が一変する可能性はある。10年、14年とワールドカップを二度経験している長友佑都もこう証言していた。
 
「良い状態のチームを作れたとしても結局、(前回の)ブラジル大会では結果を出せなかった。逆に(10年の)南アフリカ大会はネガティブな状況にあったけど、1試合(カメルーンとの初戦)で一変したので、サッカーは本当に分からない」
 
 10年の南アフリカ・ワールドカップ、カメルーン、オランダ、デンマークとグループリーグで同居した日本は、大会開幕前の親善試合で勝てない影響(同4月7日のセルビア戦からなんと4連敗)もあり、まったくと言っていいほど期待されていなかった。
 
 ところが、土壇場になって守備重視の戦術(システムは4-1-4-1)に切り替え、割り切った戦い方でカメルーンとの初戦を本田圭佑のゴールで1-0と制すと、2戦目のオランダ戦こそ0-1で落としたものの、続くデンマーク戦で3-1と勝利してグループ2位で決勝トーナメント進出を果たしたのだ。残念ながらベスト16でパラグアイにPK負けを喫したが、開幕前の低調なパフォーマンスを考えれば、その勝ち上がりは奇跡だった。
 

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