「バルサは僕と家族にすべてを与えてくれた…」 もう一度読み返しておきたい、イニエスタの退団会見(全文)

2018年05月06日 山本美智子

「自分の時代は、今年で終わりにすべき…」

ファンの願いは届かず、イニエスタは4月27日に今シーズン限りでのバルサ退団を発表した。 (C)Getty Images

「みなさん、こんにちは。この会見は、今シーズンが(バルサでの)最後になるという決断を、公にするためのものになる…(涙ぐむ)。この決断は、クラブ内部のこと、僕個人のこと、家族レベルのこと…それらすべてを考慮に入れ、評価し、深く考えた末のものだ」

「僕はここで22年間を過ごした。そしていまも、この世界一のチームにいる。そのことの意味を僕は知っている。毎年ここでプレーすることの意味を、あらゆる点で要求されることの意味を知っている。ここでキャプテンを務めること、責任を追うこと…それらの意味を知っている」

「だから、僕にすべてを与えてくれたクラブと僕自身に正直になれば、自分の(ここでの)時代は、今年で終わりにすべきことがわかる。12歳で入団してから、僕は最善を尽くしてきた。だが近い将来、僕はフィジカル面でも、メンタル面でも、あらゆる意味で、クラブに最善を与えることができなくなる」

「自分が必要とされていて、スタメンだと感じられ、タイトルを制覇できる可能性があり、ポジティブな感触を持ちながら今シーズンを過ごしてきた。今日は僕にとって、とても難しい日だ。僕の家と人生にさよならを告げる…それはとても難しい」

「退団は自然の摂理。ここから先は、もっともっと難しくなる。僕にすべてを与えてくれたクラブで、快適じゃないシチュエーションで過ごすことになったら、僕はそんな僕自身を許すことはできないだろう。僕もクラブも、そんな状況には値しない」
 
「挨拶の最後に、クラブとマシアに感謝したい。選手としても人としても、僕自身を大きく成長させてくれた。それから、僕のチームメイト、あらゆる人々…。難しいよ(涙ぐむ)。毎日、一緒に過ごしてきた人たち、僕の毎日を良くしてくれた人たち(チームメイトや家族も涙ぐむ)。それから、ピッチの内外で僕に愛情を示してくれたすべての人たちに感謝したい」

「僕の両親と妹は22年前、車で一緒にこの場所に来て、今日も僕とともに、ここにいる。これはある種、とても不思議なことだ。そしてあの日から22年後、僕は人生で出会ったもっとも素晴らしい人といる。日々を最高に幸せにしてくれる人、僕の妻だ。僕に3つの宝(子供たち)を与えてくれた。その宝は僕が手にしているもっとも大切なものだ」

「そして、最後にバルサのサポーター…。僕の成長を、12歳でここにやって来た時からの僕のすべての歩みを、彼らは見守ってくれた。良いときも悪いときもそばにいてくれた。僕はこの先、その愛情をずっと心に持っていくだろう」

「バルサは僕と家族にすべてを与えてくれたたったひとつのクラブ。ここで22年という歳月を過ごした自分を、僕は誇りに思うし、自身に平安を見出している。僕の唯一の目標は、このクラブで成功することで、それを達成することができた。全員にありがとう」
 

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