名古屋、連敗脱出への答えは「風間スタイル」と「デュエル」の融合! “追試”でその確かさを示せ

2018年05月03日 今井雄一朗

C大阪戦はセンターバック経験者をサイドバックに配置

名古屋は連敗を8で止めたが、10試合白星がない。次は勝利が欲しいところだ。(C) J.LEAGUE PHOTOS

[J1リーグ12節]名古屋0-0C大阪/5月2日/パロ瑞穂

 スタイルとしては攻撃偏重といってもいいチームが、守備の再構築から本来の姿を取り戻しつつある。これは皮肉でもなんでもなく、リーグ連敗を8で止めた名古屋に生まれつつある良い傾向だ。そもそも究極の理想論である風間サッカーをどのような形で実践していくかは選手次第、ピッチ内に委ねられてきたところがあったわけだが、最下位という苦境にあって指揮官も選手たちも、いよいよ腹をくくって勝負に出た感もある。台風のような暴風雨のコンディションで繰り広げられた熱戦は、そうした点で改めて名古屋の可能性と課題を浮き彫りにしたとも言えるだろう。

 4月29日に負傷から8か月ぶりの練習復帰を果たした新井一耀を「いってしまえと。できるところまでやろうと」(風間八宏監督)と、いきなりスタメン起用するという奇策に出た名古屋は、それ以外にも指揮官が大胆な采配を見せていた。

 ベーシックな4-4-2の布陣の最終ラインには、右から菅原由勢、新井、ホーシャ、そして櫛引一紀とセンターバック経験者がズラリ。確かに菅原はU-17日本代表でも昨年の名古屋U-18でも右サイドバックを務め、櫛引は今季左サイドバックでの出場も重ねてはいた。しかしサイドバックにはビルドアップや攻撃参加を重視してきたこれまでの判断基準を考えれば、止まらぬ失点癖への"対症療法"であったことを感じざるを得ない。
 
 ところが、だ。新たなサイドバックたちが守備だけに特化したプレーを見せたかといえばむしろ逆で、もともと攻撃参加の得意な菅原はもちろんのこと、「自分、左サイドバックの選手ではないんですけどね」と苦笑する櫛引も気の利いたポジショニングで左サイドに起点を作る働きを見せている。

 この2選手は危機察知能力も高く、守備の局面ではポジションを逸脱したカバーリングでもチームに貢献。中央のホーシャと新井のアタック&カバーの関係性も初めてとは思えないほどの補完性の高さで、中盤守備の効率化にもひと役買う活躍ぶりだった。
 

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