【横浜】前に出るか、後ろに下がるか――“二刀流”天野純の欲張りなジレンマ

2018年03月29日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

自分より前に味方を置き、テンポ良くパスを捌く

ポステコグルー新体制の下でも、中盤の不可欠なレギュラーとして奮闘。チームの命運を握る存在と言ってもいい。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 前半の途中、自らの判断でポジションを変えた。
 
 4節・浦和戦、横浜のスターティングポジションは4-3-3。中盤の形は正三角形で、トップ下に収まっていた天野純は、「そっちのほうがうまく守備がハマる」と、ひとつ落ちて扇原貴宏とともに2ボランチを組む。代わりにボランチのダビド・バブンスキーがトップ下を務めた。
 
 ミドルゾーンの攻防で優位に立つため、まずは守備の安定を考えた。ボランチに入ったのは、「ダビは攻撃的な選手で、より前にいたほうが違いを作れる。しかも彼は守備でけっこう力を使っていたし、だったら俺のほうが守備は慣れているから、後ろからダビを活かしたほうがいいと思った」のが理由だ。
 
 天野が一列下がることで、中盤の守備の強度は確かに上がった。扇原とともに浦和の柏木陽介や長澤和輝をしっかりと監視し、自由に攻め込ませなかった。
 
 それよりも効果的だったのは、天野の周囲へのサポートだ。例えば、SBのやや斜め後ろにポジションを取り、ボールを出し入れしながら、機を見て逆サイドに展開する。自分より前に味方を置き、テンポ良くパスを捌く。より出し手に専念する献身的なプレーは、チームのポゼッションを確実に高めていた。
 
 ある意味、黒子に徹したその仕事ぶりについて、天野自身は「やってみて功を奏したというか、そこまで考えていなかったですね(笑)」と笑顔を見せる。「でもまあ、後ろに構えながら攻撃を操れた感じはあったし、リズムは作れた」と手応えも口にした。


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