中島翔哉が輝いた「ハーフスペース」って何? ネイマールも活用する最先端トレンドだ

2018年03月24日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

大外よりもひとつ内側のエリアでボールを受けやすい。

中島はサイドにべったりは張り付かず、頻繁に中のハーフスペースに入って違いに。マリはマークに付き切れていなかった。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

[国際親善試合]日本 1-1 マリ/3月23日/スタッド・モーリス・デュフラン


 日本にとってマリ戦の最大の収穫は、間違いなく中島翔哉の活躍だった。
 
 入団1年目のポルティモネンセで輝きを放ってA代表に初招集された23歳の新進気鋭は、1点ビハインドだった60分、宇佐美貴史に代わって左ウイングに入って代表デビューを飾る。当初はサイドに張り気味だったが、徐々にいわゆる「ハーフスペース」でプレーする時間を増やしていく。これがハイパフォーマンスの大きな鍵となった。
 
 ハーフスペースとは、ピッチの横幅を縦に5分割した時、大外よりもひとつ内側のエリアのことを指す。どんなチームも守備側は失点に直結する可能性がもっとも高い中央のレーンを強固にするが、このハーフスペースはSB、CB、セントラルMFの誰がマークに付くのかがやや曖昧になる。それゆえ、攻撃側にとってはボールを受けやすいし、フリーにもなりやすい。
 
 もちろん以前からサッカー界にあった概念だが、モダンフットボールではここをより意識的に使うのがいわばトレンド。例えばヨーロッパのトップクラブでは、パリSGのネイマールやキリアン・エムバペ、リバプールのモハメド・サラ―とサディオ・マネ、バイエルンのアリエン・ロッベンとフランク・リベリ、マンチェスター・Cのラヒーム・スターリング、ナポリのロレンツォ・インシーニェなどが、このハーフスペースを上手く活用している。
 
 彼らのスタートポジションはいずれも大外のウイングだが、「サイドをえぐってクロスを上げる」という仕事は主にSBに任せ、自身はひとつ内側のハーフスペースにしばしば入り込み、そこからのドリブル、パス、シュートで大きな違いを作り出しているのだ。ロシア・ワールドカップでも、このゾーンを狙ってくるウイングは多いだろう。
 
 中島はポルティモネンセで左ウイングとしてこのハーフスペースを巧みに活用し、ここまで9ゴール・7アシスト(23試合)をマーク。蛇足になるが、ナポリが彼を獲得候補のチェックリストに入れたという噂は、体型や持ち味が似ているインシーニェの控えとして白羽の矢を立てと考えれば合点がいく。
 

次ページ時間が進むごとにサイドからハーフスペースへ。

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