【選手権】高校サッカー界のトレンドとなるか⁉「史上最弱」の矢板中央を変貌させた指揮官の奇抜なアイデア

2018年01月07日 江國 森(サッカーダイジェストWeb編集部)

素人同然のチームが日本一に。

過去最高に並ぶベスト4進出と躍進を見せた矢板中央イレブン。3位の表彰式では晴れやかな笑顔を見せた。写真:田中研治

[高校サッカー選手権準決勝]流経大柏1ー0矢板中央/1月6日/埼玉
 
 インターハイ王者の流経大柏と接戦を演じた矢板中央は、後半19分のボレー弾に泣き、初の決勝進出を逃した。しかし、決して下馬評が高くなかったチームの躍進は、称賛に値する。

 昨年頭に代替わりして以降、なかなか結果が出なかった。新人戦では決勝で敗れ、4月の関東大会予選は初戦敗退。夏のインターハイ予選でも準決勝で涙を呑み、「史上最弱」という声すら聞かれるようになった。髙橋健二監督も、「どうして結果が出ないのか思い悩んだ」という。
 
 そんなチームが、なぜ全国の4強入りを果たせたのか。髙橋監督は大きく2つの要因を挙げている。
 
 1つめは、「原点」に立ち返ること。堅守速攻を拠り所にしたサッカーで、8年前にベスト4、6年前にベスト8に進出した後、それらを超える結果が出ない時期が続き、指揮官はポゼッション・スタイルへの変更を試みてきたという。
 
 だが、それもうまくいかず試行錯誤の日々が続いた。結局、今年になってインターハイ予選で敗れたのをきっかけに、堅守速攻に原点回帰。守備を徹底して鍛え上げ、勝てるチームを作り上げたのだった。
 
 実際、鮮やかな一撃で失点を喫したとはいえ、この日も3試合で7得点を挙げている流経大柏の攻撃をよく抑え込んだ。
 
 そしてもう1つが、夏の全日本ユース(U-18)フットサル大会への出場だ。「試合に出られない選手に経験を積ませたい」という髙橋監督のアイデアで、2年生を中心にチームを編成。初めて予選に参加すると、ほぼ全員がフットサルの経験がなかったにもかかわらず、あれよあれよと勝ち抜いて全国大会への切符を手にした。
 
 16チームが出場した本大会でも快進撃を続け、グループリーグを2勝1分けで首位通過を果たすと、準々決勝で柳学園(兵庫)を11-4、準決勝でフウガドールすみだファルコンズ(東京)を7-3で連破。そして決勝で長岡向陵(新潟)を3-1で破り、なんとフットサルに関しては素人同然のチームが日本一に輝いたのだ。

【選手権PHOTO】準決勝 流通経済大柏1-0矢板中央 接戦を制し流通経済大柏が決勝進出!

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