【インタビュー】パブロ・オスバルド(ユベントス)「50歳になっても同じ自分でいたい」

2014年05月04日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

「僕のことを嫌いな人間の方が多いだろうね」

「FWにとって敵は自分自身。プレーを邪魔するのは相手DFではなく、自分を頭のなかにいる何かが、常に自分を動揺させようとしている」

 アルゼンチンに生を受けながら、曾祖父の故郷であるイタリアで代表入りし、定位置獲りに向けて着実に前進し続けている28歳。屈強なDFに当たり負けしないパワーと、彼らを翻弄する鮮やかなテクニックで観る者を感嘆させるパブロ・オスバルドは、その一方で、その言動によって幾度も論争とトラブルを巻き起こしてきた。
 
 選手としても、人間としても興味をそそられる存在であるオスバルドとは、いったい何者なのか。1月にプレミアリーグのサウサンプトンからユベントスに活躍の場を移した男の、魅力に富んだ素顔に迫る。
 
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――サッカー界のような複雑な環境で自分を貫くには、大きな代償を支払うことを求められるのでは?
「残念ながら、何も言わない方がいい時があるのは事実だね。僕はどんな感情もオープンにして生きていきたいと考えているけど、それでもいろいろな経験を経て、今ではある程度、自制するようになっているよ。この世界の問題は、簡単に誤解が生じること。僕自身、インタビューが物議を醸し、選手としての仕事に支障を来したこともあったんだ」
 
――あなたは、自身の生まれ持っての人間性について、どれ程意識していますか?
「僕のことを好きな人よりも、嫌いな人の方が多いだろうけどね(笑)。高慢で厚かましい人間だと思っているんだよ。でも、それは違う。僕と初めて会った人の99パーセントは、イメージとまったく違うということで驚くんだ。思ったよりも常識的でおおらかじゃないかってね(笑)。そう、僕はごく普通の若者だよ」
 
――トラブルメーカーというイメージと、実際のあなたのサッカーに対する情熱やチームへの強い想いには、大きなギャップを感じます。
「僕は常にサッカーに情熱を燃やし、高い集中力を持ってサッカーに取り組んでいる。100パーセント、いや110パーセントの力を込めて真剣にやっているよ。それでも、うまくいかない時だってある。サッカーは科学じゃないから、計算通りにいかないんだ。確かなのは、僕が常に全力だということ。それを疑う者や、僕を貶めようとする輩に対しては、躊躇なく反論するよ」
 
――あなたのプレーについて、注意散漫、独りよがりなどと、批判的な意見を持つ人間もいますが、それらのほとんどは的外れなものです。しかし現在のサッカーでは、あなたのような個性的な選手が活きづらくなっているのは事実だと思いますが?
「個性を活かす余地は、今も十分にあると思うよ。昨年末、僕がサウサンプトンの一員だった時にマンチェスター・シティ相手(プレミアリーグ第15節)に決めたゴールは、まさに僕の個性が十分に出た一発さ。イングランドではあまり審判が笛を鳴らさない(ファウルを取らない)から、僕はドリブルで深く攻めていき、ループシュートに持ち込むことができたんだ。観客も信じられないという顔をしていたね。環境に合わせながら、自分の個性を最高の形で出せた場面だったよ」

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