アトレティコを追い詰めた「カラバフ」ってどんなチーム? 

2017年11月03日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

2シーズン前のファイナリストと堂々と渡り合う。

今大会がCL初出場となるアゼルバイジャンのカラバフ。強豪が揃う「死のグループ」で存在感を発揮している。(C)Getty Images

 チャンピオンズ・リーグ(CL)の第4節でサプライズを起こし、ヨーロッパ中の注目を集めているのが、アゼルバイジャンのカラバフだ。
 
 敵地ワンダ・メトロポリターノでのアトレティコ・マドリー戦、40分にコーナーキックから先制点を奪うと、その後は33本のシュートを浴びながら敵の反撃を1点に抑え、第3節(0-0)に続き、このスペインの名門とのゲームに引き分けたのだ。
 
 A・マドリーといえば、ここ4年で準優勝が2回、ベスト4が1回、ベスト8が1回と、近年CLで安定した好成績を残している、言わずと知れたビッグクラブ。そのホームで、無名の新参クラブが勝点1を奪取したのは、快挙と言っても過言ではない。しかも、前節に続いて退場者を出し、数的不利を強いられていたのだからなおさらだ。
 
 昨シーズンに国内リーグ4連覇を成し遂げたカラバフは、CLの予選2回戦でジョージアのサムトレディア、同3回戦でモルドバのシェリフ・ティラスポリを破ってプレーオフに進出。圧倒的不利の下馬評を覆してデンマーク王者のコペンハーゲンを撃破し、アゼルバイジャンのクラブとして、初めてCL本選出場を勝ち取った。
 
 クラブ創設は1966年。当時、アゼルバイジャンはまだ旧ソビエト連邦の構成国だった(ソ連が崩壊した91年から独立国家に)。元々はアグダムという地方都市をホームタウンとしていたが、約30年前に勃発した隣国アルメニアとの「ナゴルノ・カラバフ戦争」で廃墟と化し、首都バクーに移転した過去を持つ。「ナゴルノ・カラバフ」とは、アグダムのある地方を指し、クラブ名もこれに由来する。
 
 財政危機に瀕していた2000年代前半に、国内一の大富豪であるガゼル家がクラブを買収。実力のある外国人を獲得し、アゼルバイジャンを代表するクラブへと成長していった。
 
 なにより大きかったのが、08年のグルバン・グルバノフ監督の就任だ。モダンなポゼッションスタイルを導入し、外国人に頼るだけでなく、アゼルバイジャン人の底上げにも成功。在籍9シーズンで4度の国内リーグ制覇と3度の国内カップ優勝を成し遂げている。

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