【現地発】「メッシの本質」は自然体にあり。愛息子の言葉が何よりの源だ

2017年10月15日 エル・パイス紙

エクアドル戦は何よりも結果が求められた。

長男チアゴくんを抱きかかえるメッシ。家族が何よりの支えになっている。(C)Getty Images

 10月10日のエクアドル戦を前にして、アルゼンチン代表はワールドカップ予選敗退のかつてない瀬戸際に晒されていた。
 
 対戦相手のエクアドルはアントニオ・バレンシア、フェリペ・カイセドという飛車角落ちで、チームを率いるのは暫定監督の同胞ホルヘ・セリコ。試合に臨む時点で5連敗を喫しており、すでにロシア・ワールドカップ出場の可能性を絶たれていた。
 
 本来のアルゼンチンであれば楽に勝たなければならない相手なものの、それでも周囲が「決戦モード」を煽るその追い込まれようが、苦悩を浮き彫りにしていた。
 
 リーダーが不在で混乱状態にあるアルゼンチン・サッカー協会の後ろ盾を失ったアルビセレステの南米予選中の戦いぶりは、それほど迷走を極めた。3人の監督が交代し、45人の選手が入れ替わり立ち替わり起用された。とりわけ人材が固定しなかったのがリオネル・メッシのパートナー役で、直近5試合でも4人のCFが立ち代わり試された。
 
 しかし、そのゴンサロ・イグアイン、ルーカス・プラート、マウロ・イカルディ、ダリオ・ベネデットが誰一人として結果を残せず、チームはエクアドル戦を迎えるまで、16節ベネズエラ戦でのオウンゴールを除けば、4試合無得点という極度のゴール欠乏症に悩まされていた。いまや世界最高のアタッカー産出国とは思えない、にわかには信じがたい事態である。
 
 結果、プレーオフ行きすらも逃す6位でエクアドル戦を迎える。アルゼンチン国民がこの試合で求めるのは何よりも結果であり、内容はもはや二の次だった。それはメッシに対しても同様で、ことこの大一番においては"神に選ばれし者"だけが見せるスーパーなプレーが期待されていたわけではない。
 
 もちろんメッシの目標は、あくまでもワールドカップ優勝だ。試合前には予選の段階でここまで大苦戦を強いられている現状に、責任感の強いメッシがパニック状態に陥ってしまうのではないかと不安視する声も一部から出ていた。
 

次ページボールという最高の表現手段を最大の味方にして淡々と。

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