【現地発】「ネイマール孤立」の舞台裏…なぜパリSGで味方がD・アウベスだけに?

2017年09月30日 エル・パイス紙

予想だにしなかったチームメイトの拒否反応。

今夏にパリSGへ史上最高額で移籍したネイマールだが、早くもチーム内で孤立し……。(C)REUTERS/AFLO

 ネイマールが大きな希望を持ってパリに移り住んでから、約2か月が経過した。しかし、幸せな毎日を過ごしているかと言えば決してそうではなく、取り巻きの仲間たちと一緒に過ごす時間が唯一の気晴らしになっている。
 
 欧州サッカー界はここ数年、レアル・マドリーとバルセロナというスペイン勢が覇権を握る状況が続いている。パリSGはそうしたスペイン一強時代に歯止めをかけようとメガプロジェクトを立ち上げ、その最大の目玉として招かれたのがネイマールだった。
 
 しかし、勇躍乗り込んだ新天地で遭遇したのは、予想だにしなかったチームメイトによる激しい拒否反応だった。世間の注目を浴びたPK騒動でエディンソン・カバーニが見せたリアクションは、そのほんの一例に過ぎない。しかもネイマールにとって問題なのは、他のチームメイト、とりわけの重鎮組の多くも多かれ少なかれカバーニと同じ感情を抱いていることだ。
 
 選手間のこうした反発のそもそもの発端は、FFP(ファイナンシャル・フェアプレー)違反により2018-19シーズン以降、チャンピオンズ・リーグ(CL)出場権を剥奪される危険性を回避するために取ったナセル・アル・ケライフィ会長を筆頭としたクラブ幹部の拙い対応だった。
 
 収益と支出のバランスを徹底させるためにFFPを定めているUEFAは、パリSGがネイマールを獲得するためにバルセロナに支払った契約解除違約金の2億2200万ユーロ(約284億円)を問題視。パリSGは2016年度に5億5000万ユーロ(約704億円)の総収入を得ているが、それでも額が額だけに、本当に財政バランスが取れているのか財務管理組織に調査を依頼する。仮に違反していると判断された場合は、処分は罰金などの経済的なものに止まらないと警告を発した。
 
 UEFA本部の関係者によると、当初彼らはパリSGの爆買いに対し、CLのステータスを向上させる動きとして好印象を抱いていたという。しかし、バイエルン、レアル・マドリー、ユベントスといった老舗クラブから異議を唱える声が出始めると、風向きが一変した。UEFAの一連の動きはアル・ケライフィ会長にとっては脅威以外の何物でなく、下手をすれば数年間もヨーロッパ・カップ戦から締め出される危険に直面する格好となっている。

次ページクラブからの戦力外メールは失礼極まりなかった。

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