【高円宮杯】中村駿太は古巣レイソルとのアウェーゲームでなにを想い、なにを掴んだのか

2017年09月17日 安藤隆人

「自分でもびっくりするくらい緊張していた」。

かつて通い詰めた柏総合グラウンドに帰還した中村。様々な想いが去来したという。写真:安藤隆人

 高円宮杯プレミアリーグEAST第13節、柏レイソルU-18vs青森山田の一戦。緑の名門のエースストライカー、中村駿太(来春のモンテディオ山形入団が内定)にとっては、ただの試合ではなかった。
 
 対戦相手は昨年まで所属していた古巣だ。すでに前半戦で戦い勝利したが、そのゲームは青森山田高校グラウンドで行なわれた。
 
「あまり意識せずに試合に挑もうとしていたのですが、僕らのバスが柏市内に入って、見慣れた風景が目に入って来た。その瞬間、懐かしさとレイソルでの日々が思い返されました」
 
 小学校時代から数えると、8年の時間を過ごした日立柏総合グラウンド。かつて日常を過ごし、サッカーに打ち込んだ思い出の場所での戦いに、中村の心は否応なしに高ぶった。
 
「バスから降りて、グラウンドまでの道とグラウンドを見たら……なんか『帰って来たな』という感覚が湧いてきました。でも、青森山田のユニフォームを着てピッチに入った途端、自分でもびっくりするくらい緊張していた」
 
 覚悟を持って慣れ親しんだ柏を離れ、今春から青森山田に活躍の場を移した。「環境を変えて、もう一度自分を鍛え直したかった。いろんな想いはあるけど、成長する、強くなる、それだけを考えて決断をした」。あれから半年が経ち、古巣とのアウェー戦は「自分がどれだけ強くなれたのか確かめる重要なポイント」と位置づけていた。だからこそ、平常心ではいられなかった。
 
 キックオフの笛が鳴り響くと、彼はその緊張をエネルギーに変えた。「絶対に勝つ。そして成長した自分を見せる。頭の中はそれだけだった」とエンジン全開で動き出し、DFラインをかい潜るように前線で顔を出す。懐深くボールを収めると、そこからチーム自慢のサイド攻撃を引き出していく。立ち上がりから青森山田が主導権を握った。
 

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