【プレー分析|今野泰幸】値千金の同点弾も、攻守に“中途半端”だった理由

2017年06月08日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「ボールを受けて、リズムを作ろうとしたけど……」

58分、ゴール前に走り込み、長友のクロスを右足で確実に押し込む。前に出る意識が実った同点弾だった。写真:田中研治

[キリンチャレンジカップ] 日本 1-1 シリア/6月7日/東京
 
 怪我明けでコンディションが不安視されていた今野泰幸だったが、大方の予想通り、シリア戦はインサイドハーフで先発を飾った。
 
 ただ、前半は攻守両面で中途半端な印象を受けた。持ち前のアグレッシブさは鳴りを潜めて、今野自身も「相手はフィジカルが強くて、出足もプレッシャーも早く、ちょっと戸惑った」と振り返る。
 
 周囲との連係では、ボールの流れをよく見て、パスコースを作るポジショニングは悪くなかった。そこでパスを受ければ、正確に味方に預けて次のプレーに備える。ミドルゾーンでのつなぎは問題なくこなしてはいたが、「インサイドハーフをやらしてもらっているので、もう少し、攻撃に絡めれば良かった」と語るように、決定機につながるような配給は数える程度だった。
 
 もっとも、そのパフォーマンスは今野の力量だけによるものではなかった。"中途半端"に映ったプレーも、今野なりに試行錯誤した結果とも言える。
 
 チームとして、とりわけ前半はボールを前に運ぶのに苦労していた。その状況をなんとか修正したかった。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督からは、前への推進力を求められている。それは十分に理解しているが、ビルドアップもサポートしたかった。
 
「なかなかゴール前に運べないから、けっこう下がっちゃって。ボールを受けて、リズムを作ろうとしたけど……」
 
 ゴールに絡む働きを示さなければならない。一方で、中盤の選手として攻守を連動させる必要性も感じていたのだろう。迷いがあったのかもしれない。どこか思い切りの良さを欠いた前半の出来には、こうした背景があったように思う。
 
 香川真司の負傷交代で急きょ、ピッチに立った倉田秋とは「どうやってボールを前に運ぶか」を話し合っていたという。
 
「秋の特長は分かっているし、流れを変えようとしていたけど」
 
 G大阪のチームメイトとインサイドハーフでコンビを組んだが、相手を揺さぶり、押し込むような息の合ったコンビネーションはあまり見られなかった。

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