いまさら聞けない「移籍市場の用語&ルール」。FFPって? 労働許可証って?

2017年06月02日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

買い取り義務の発生直前に戦力外に回された選手も…。

毎年、ビッグディールが行なわれ、移籍金記録が更新されるサッカー界の移籍市場。その舞台で交わされる用語を改めて見てみよう。 (C) Getty Images、(C) REUTERS/AFLO

 16-17シーズンもチャンピオンズ・リーグ決勝を残すだけとなり、欧州のクラブはすでに17-18シーズンに向けた補強に動いている。実際、早くも決定したディールも少なくない。その移籍マーケットには様々なルールがあり、数多くの専門用語が登場。FIFAが定めている規則を中心に基礎的な用語を集めてわかりやすく説明し、具体的な事例とともに紹介しよう。
 
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【移籍期間】
 FIFAによって定められた移籍可能な期間。 欧州の主要リーグは通常、1シーズンに夏と冬の二度、市場がオープンする。
 
 原則、夏は7月1日~8月31日、冬は1月1日~1月31日に設定されているが、カレンダーの都合によって最終日が1~3日ほど延びるケースがあり、またリーグによっても数日程度の違いがある。無所属(フリー)の選手に限っては、この期間外でも新しいクラブと契約できる。
 
 ちなみに、1シーズンに契約できるのは3クラブまで。ただし、公式戦に出場できるのは2クラブのみ。このルールの犠牲となったのが、アテム・ベン・アルファ(現パリSG)だ。
 
 2014年夏、ニューカッスルからハルへレンタル移籍し、9試合に出場。さらに半年後には、ニースに完全移籍をしたが、ニューカッスルのU-21チームで出場した試合が公式戦と判断されたため、3チーム目となるニースでは試合に出られない事実が判明。クラブに残ることもできたが契約を一旦解除し、半年間の浪人生活を送った後に、改めてニースに入団した。
 
 
【買い取りオプション/買い取り義務】
 レンタル移籍の付帯事項のひとつ。いずれもレンタル先のクラブには、完全移籍で獲得する前に選手の能力を見極められるメリットがある。レンタル期間終了後、借り受けていたクラブがその選手を完全移籍させるかどうかを決められるのが買い取りオプションだ。
 
 一方、買い取り義務は、 買い取ることが前提の契約だ。ただし、出場試合数などの一定条件が盛り込まれているケースがほとんどで、それに満たない場合は買い取りを拒否できる。
 
 一例を上げると、2015年夏にミランからモナコへレンタルされたステファン・エル・シャーラウィには、『公式戦25試合に出場した場合に買い取り義務が発生する』という条項が付いていた。
 
 しかし、買い取る意志がなかったモナコは、24試合に達した時点で起用するのをやめて戦力外の扱いに。結局、同シーズンの冬の市場で今度はローマへ買い取りオプション付き のレンタルで移籍(保有権はミラン)。16年夏にローマがオプションを行使し、完全移籍が決定した。
 
 
【買い戻しオプション】
 一度、完全移籍で売却した選手を、優先的に買い戻せる権利を指す。
 
 14年夏にR・マドリーは、アルバロ・モラタを、移籍金2000万ユーロ(約24億円)の売値を付けて買い戻しオプション付きの完全移籍でユベントスへ放出。2年後にこのオプションを行使し、3000万ユーロ(約36億円)で買い戻した。
 
 
【緊急補強】
 故障など不測の事態で長期離脱の選手が出た場合の特例措置で、移籍期間以外でも選手を獲得できる。
 
 プレミアやリーガ・エスパニョーラなどで認められており、協会や連盟の承認が得られれば国内でプレーしている選手に限り補強が可能だ。今シーズンもGKに故障者が続出したレガネスが、11月にA・ビルバオからイアゴ・エレリンをレンタルしている。

次ページ市場のキーにもなるボスマンプレーヤー。

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