【ミラン番記者】本田圭佑と長友佑都は揃って今夏に新天地へ…

2017年04月20日 マルコ・パソット

今シーズンは一度もチームの一員だと感じていなかったかもしれない。

本田(右)はもちろん長友(左)もここにきて退団濃厚に。ミラノの日本人は揃って新天地を求めるか。写真:Alberto LINGRIA,Getty Images

 またもやどこかで見た光景だ。しかし、前回の時もそうだったが、何度見てもあまり気分の良いものではない。
 
 前回とは昨年末、ドーハでPK戦の末にユベントスを下してミランがイタリア・スーパーカップで勝利した時。そして、今回はアディショナルタイムのラストプレーにゴールを決め、負けかかっていたミラノ・ダービー(4月15日のセリエA32節)を引き分けに持ち込んだ試合。どちらもミラニスタであれば狂喜乱舞するシチュエーションだ。
 
 しかし、チームメイトたちがサポーターの前で喜びを爆発させている時、本田圭佑は一人でロッカールームに続くトンネルに向かっていた。その前には劇的ゴールを決めたクリスティアン・サパタに飛びついて歓喜していたが、すぐに平静を取り戻したのだろう。
 
 ただ、カタールの時と比べれば、その心情が分からなくもない。あの時はたとえプレーしなかったとはいえ、ミランがタイトルを獲ったことで本田のキャリアにも多少なりとも箔が付いた。だが今回のダービーの引き分けは、彼にとってほぼ何の得にもならない。
 
 どんなに高いプロ意識を持っていて、できた人間でもあっても、共に喜びはしゃげとは言えない。少し前から彼のチームではなくなっているミランのために。いや、もしかしたら今シーズンは一度もチームの一員であるとは感じられていなかったかもしれない。一人でピッチを去る本田を責める気にはなれない。
 
 また、今回のダービーにおける采配でより明らかとなったヴィンチェンツォ・モンテッラの本田に対する全くの無関心も、それに追い打ちをかけていたかもしれない。
 
 指揮官が最初にピッチに送り込んだ3トップはスソ、カルロス・バッカ、ジェラール・デウロフェウだった。そして、2失点して何がなんでもゴールが欲しかったモンテッラはその後、ジャンルカ・ラパドゥーラ(75分)とルーカス・オカンポス(80分)も投入し、終盤には実に5人ものアタッカーがピッチに立っていた。
 
 モンテッラは試合後、最終的にはミランのシステムは3-1-6(マティアス・フェルナンデスも実質アタッカーの認識)だったと告白している。恥も外聞もない捨て身の戦い方だったが、最後にそれが報われた。83分にアレッシオ・ロマニョーリ、97分にサパタがゴールを決め、試合を敗北から引き分けに持ち込んだのだ。

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