【詳報】なぜ新天地に青森山田を選んだのか。中村駿太が、その想いのすべてを語る

2017年03月24日 安藤隆人

郷家との2シャドーですぐさま輝きを。

ディナモ・ザグレブU-18との一戦で後半から登場した中村。2シャドーの一角を担い、攻撃を活性化させた。写真:安藤隆人

 3月23日、ガバナーカップの開幕戦が、中村駿太の青森山田における"正式"デビュー戦となった。相手はクロアチアの名門、ディナモ・ザグレブのU-18チームだ。
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 ベンチスタートの中村は、1−0リードの状況で迎えた51分(40分ハーフ)にピッチへ。U-18日本代表のMF郷家友太と2シャドーを組んだ。その郷家とともに高い位置でボールを積極的に受け、タメを作っては、左サイドのMF壇崎竜孔や、1トップから右MFにポジションを移したバスケス・バイロンにいい状態でボールを供給。攻撃にリズムを生み、素早いサイドアタックを促進した。
 
 守備面でも長いスプリントでプレスバックを仕掛けたり、果敢にフォアチェックに繰り出すなど、終始チーム全体の状況に気を配りながら、献身的にかつ積極的に動き続けた。ゴールこそ奪えなかったが、東欧の強豪を相手に1−0の勝利に貢献。デビュー戦としては上出来と言える内容で、30分間のプレーを終えた。
 
 試合後、充実の表情を浮かべながら、この試合に至るまでの心境を語ってくれた。
 
「ずっと高校サッカーへの憧れはあったんです。柏U-15からU-18に上がるときも、『高校サッカーに行きたい』と言ったんです。そのときは決断を下せませんでしたが、ずっと心の中で『高校サッカーに行きたい』という想いがありました。柏には小学校の時からずっと育ててもらって、恩しかないのですが、どうしても心の中にその想いが燻っていて……。気が付いたらもう高3を迎えるし、ここで決断をしなきゃいけないなと思ったんです」
 
 柏U-12時代には、全日本少年サッカー大会でチームを優勝に導き、自身も31年ぶりに歴代最多得点を塗り替える、23得点を叩き出した。今と変わらない風貌から「和製ロナウド」と称され、一躍注目を浴びた。その後も、柏U-15、柏U-18で着実に成長し、柏U-18では1年時から出番を掴むと、昨年は2年生エースとしてゴールを量産。プレミアリーグEASTで得点ランク3位の8得点を叩き出した。
 
 今年も当然のように柏U-18のエースとして君臨するはずだった。しかし──。長年続いた葛藤の末に、彼の心の中に不退転の決断が生まれるのだ。
 
「僕はずっとレイソルで育ってきて、外の環境をほとんど知らない。高校サッカーに行きたいと思ったのも、選手権に出場したいという想いから、徐々に『今とまったく違う、より厳しい環境に身を置いて、サッカー的にも人間的にももっと成長したい』という想いがどんどん強くなっていったんです。レイソルという環境は素晴らしい環境だったのですが、もっと精神的に強くなるためには、このままではダメだと、強い危機感を覚えるようになったんです」

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