【コラム】3試合で8ゴール! ナポリの「俺様アタッカー」が大爆発中だ!

2016年12月23日 片野道郎

主砲ミリクの代役として結果を残す。

ここ3試合で8ゴールの荒稼ぎ。メルテンスがナポリの前線で特大の輝きを放っている。(C)Getty Images

 2位ローマとの直接対決をゴンサロ・イグアインのゴールで制したユベントス(勝点42)が、折り返し点まで2試合を残して早くも「冬のチャンピオン」を確定させ、1試合未消化ながら2位以下に4ポイント差という独走体制を築きつつあるセリエA。こうなると興味はむしろ、2位ローマ(勝ち点38)から6位アタランタ(勝点32)までわずか6ポイントの間に5チームが固まるチャンピオンズ・リーグ出場権(3位以内)の争いに向いてくる。
 
 その中で最も勢いに乗っているのが3位のナポリ。10月末の11節でユーベとの直接対決に敗れ5位まで順位を下げた時には危機説もささやかれたが、その後の7試合は4勝3分け、しかもここ4試合はインテルに3-0、カリアリに5-0、トリノに5-3、フィオレンティーナに3-3と圧倒的な攻撃力が際立っている。
 
 その絶対的な主役を演じているのが、ベルギー代表のドリース・メルテンスだ。カリアリ戦でのトリプレッタ(ハットトリック)をはじめ、トリノ戦でポーカー(1試合・4得点)、フィオレンティーナ戦で1ゴールと、なんとここ3試合で実に8ゴールを荒稼ぎしている。
 
 169cm・61kgという小柄なドリブラーで本職は左ウイング。しかし、今夏にユーベに引き抜かれたイグアインの後釜として獲得したポーランド代表のアルカディウス・ミリクが、10月8日の代表戦で左膝十字靱帯断裂の大怪我を負って戦線離脱して以降、本来その控えであるべき186cmの大型FWマノーロ・ガッビアディーニをベンチに追いやって、CFを担っている。
 
 スペイン代表のホセ・マリア・カジェホン(178cm)、イタリア代表のロレンツォ・インシーニェ(163cm)と組む小兵3トップは、ロングボールが使えないうえ、CFに入るメルテンスがDFを背負ってのポストプレーを得意としないこともあり、攻撃を組み立てる選択肢が少なからず制限されるというハンディキャップを抱える。当初はどこまで機能するか、疑問視する向きも少なくなかった。
 
 事実、このシステムを本格導入からの5試合は2勝2分け1敗(7得点・5失点)、メルテンスもわずか1得点と決してチームが機能しているとは言い難かった。チームを率いるマウリツィオ・サッリ監督も、11月28日のサッスオーロ戦から3試合連続でガッビアディーニをCFに入れる決断を下したほどだ。
 
 しかしメルテンスは、そこからスタメンに復帰したカリアリ戦でシュート9本を放って3度ゴールネットを揺らすと、続くトリノ戦では7本中4本をゴールに沈めるという圧倒的なパフォーマンスを見せたのだ。
 

次ページ似ているのはメッシよりもC・ロナウドだろう。

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