辛口独メディアも魅了した大迫勇也がケルンで充実の日々「代表のことはまったく考えていない」

2016年09月30日 寺野典子

ドイツに渡って数シーズン、確かに大迫は苦しんでいた。

2試合連続弾で現地メディアからの評価も急上昇の大迫。10月の代表選では声が掛からなかったが、この調子を維持すれば11月には約1年半ぶりの代表復帰もあるか。(C) Getty Images

「15日前に所属クラブに連絡しなければならない。大迫がゴールを決めたのはそのあとだった」
 
 9月29日、10月のワールドカップ・アジア最終予選メンバーを発表したハリルホジッチ監督は、現在ブンデスリーガで2戦連続ゴールと活躍するケルンの大迫勇也の名がリストにないことをそう説明した。
 
 同時に「1、2点獲ったからといって、すぐに代表に呼ぶわけにはいかない。ただし大迫にもチャンスはある」とも語っている。「ここ3試合でスタメンを勝ち取り」とも話したが、実際には開幕戦はベンチスタートだったものの第2節から先発起用されて、4試合連続スタメンである。「追いかけている」というが微妙に間違っていた。
 
「数か月スタメンで出られず、ケルンのグループにも入っていなかった。出場した時も中盤あたりのポジションだった」というのは確かにその通りで、2014年夏にケルンへ移籍してからは、苦しい時期が続いていた。

 今年2月20日に観たボルシアMG戦では、先発に名を連ねたが、アウトサイドで起用され、大迫の持ち味を見せることができずに途中交代している。サイドで活きる選手ではないだけに、下がりながら守備に追われる大迫を見て、「もったいないな」と強く思った。
 
 2014年1月ブンデスリーガ2部の1860ミュンヘンに加入した大迫は、15試合に出場し6得点をマークしているが、この時も順調とは言い難い環境だった。1トップに立ちながらも、なかなかパスが出てこない。鹿島アントラーズで見せていた細やかな動き直しも影を潜めていた。
 
「動き直したり、動きすぎるとパスを出す選手が見つけられないから、あまり動くなと言われている。だけど、諦めずに練習から、チームメイトにアピールし続けたい」
 
 当時の大迫が語った言葉が忘れられない。その後、トップ下のポジションでパスを供給する側に回ったことで、チームに新しい落ち着きをもたらし、ゲームメイクも出来、得点も奪える選手として1部ケルンへ移籍を果たしたのだ。
 
 しかし、なかなか結果を残せず、2015年6月以降、大迫は日本代表にも招集されなくなった。

次ページRBライプツィヒ戦のスーパーゴールに辛口の独メディアも魅了される。

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