【前園真聖の視点】元五輪キャプテンが期待する遠藤航の“覚醒”。リオ五輪でひと皮剥けろ!

2016年07月19日 サッカーダイジェスト編集部

自分たちが出場したアトランタ五輪は、2勝1敗でも決勝トーナメントに進めなかった。

96年のアトランタ五輪に出場した前園氏。予選を含め、数々の印象的なゴールを決め、キャプテンとしてチームをけん引した。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 リオ五輪に向けて、手倉森ジャパンもいよいよ本格的な準備に入った。7月19日から国内キャンプをスタートさせて、21日にはブラジルへと旅立つ。
 
 本大会を間近に控えたこの時期に大事なのは、なによりもコンディション調整だ。グループリーグの第1戦(ナイジェリア戦)と第2戦(コロンビア戦)は高温多湿のマナウスで行なわれ、第3戦(スウェーデン戦)のサルバドールまでは長距離移動を強いられる。現地の気候や環境に早く身体を慣らして、万全の準備を整えることに集中したい。

 とはいえ、8月4日の初戦まではそれなりに時間があるわけで、当然ながら選手たちのモチベーションもピークには達していない。まだ"スイッチ"は入れないというか、入らないだろうし、対戦相手の分析もそこまで深くなされていないと思う。
 
 現地に入り、全員が同じ条件下でトレーニングをする過程で、相手の情報も少しずつ入ってきて、映像を見たりしてと、そうやって徐々に気持ちを高めていけばいい。今は逆に、リラックスして、来るべき戦いに備えているんじゃないかな。
 
 自分が出場した96年のアトランタ五輪を振り返れば、初戦がブラジルということで楽しみな気持ちがあったけど、やはり、アメリカに行ってから、大会に向けて少しずつ身体も気持ちも作っていった感じだった。

 アトランタ五輪では、グループリーグで2勝1敗の成績ながら、得失点差の関係で決勝トーナメントには進めなかった。ご存知のとおり、ブラジルに1-0で勝利し、続くナイジェリアに0-2で敗れた後、最後のハンガリーには3-2で逆転勝利という結果だった。
 
 ほとんどのメンバーが世界大会はほぼ初めてで、個人的には少なからず緊張はあったけど、相手が強豪だからといって、ガチガチになるようなことはなかった。失うものもなかったし、変に気負わず、自分たちの力を出し切ろう、やるだけやろう、と。
 
 後悔はまったくないけど、最大の勝負のポイントは、ナイジェリア戦の後半だったと思う。0-0で終えた前半を見る限り、僕らが相手ゴールに迫る回数は、ブラジル戦の時よりもはるかに多かった。だから……。

次ページ期待したいのは遠藤。胸に秘める“熱い”部分を表現できるか。

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