本田圭佑は「見守るしかない」歯がゆい状況に…ミランが中国資本と経営権売却交渉を開始

2016年05月13日 片野道郎

30年間に渡って続いたベルルスコーニ時代はついに終焉するのか?

ミラン買収に動く中国投資グループの正体は今のところ不明だが、この広州恒大を保有する『恒大地産グループ』が中心になっている可能性が高いという。(C)Getty Images

 5月10日、ACミランの実質的な親会社であるベルルスコーニ家の持ち株会社『フィニンベスト』が、ミラノ市内の本社で臨時株主総会を開催。かねてから交渉を進めてきた中国資本に対するミランの経営権売却について、具体的な売却手続きにGOサインを出した。同日にミランはこんな声明を発表している。
 
「フィニンベスト社は、ACミランの株式譲渡に関して、独占交渉権を付与することで中国の投資家グループと合意に達しました。覚書にも署名がなされ、今後はそれを出発点に踏み込んだ話し合いが行われることになります」
 
 売却交渉の基本的な前提は、中国資本がミランの発行済み株式の70%を買収するというもの。これが実現すればクラブの経営権は完全に中国サイドに渡ることになる。1986年に破産寸前のクラブを買い取って以来、30年間にわたり続いてきたシルビオ・ベルルスコーニの時代が、ついに終わりを告げることになるわけだ。
 
 今後は、約1か月間で中国側がミランの財務内容などを詳しくチェックし、6月15日までに最終的な買収金額をオファーすることになる。とはいえ、おおまかな買収金額については70%を約5億ユーロ(約625億円)という線ですでに合意が成立しており、このチェック作業を通して財務内容に大きな問題が見つからない限り、6月半ばには買収が成立する可能性が非常に高い。
 
 買収に乗り出している中国資本の正体については、今のところオープンになっていない。というのも、ここまでのところミランとの交渉には、中国サイドの委任を受けたアメリカのコンサルタント会社があたってきたからだ。
 
 現時点で分かっているのは、中国でもメジャーな大企業がいくつか共同出資している投資グループだということだけ。マスコミ報道によれば、中国スーパーリーグ5連覇中の広州恒大を保有している『恒大地産グループ』が、その中心になっている可能性が高いという。
 
 もしこれが事実ならば、ミランと広州恒大が姉妹クラブという関係になる日も近いということになる。同じミラノのライバルであるインテルも、中国スーパーリーグの江蘇蘇寧を保有する『蘇寧電器グループ』との間で数年後の買収を前提とする資本参加の話し合いが進んでおり、もしかすると来シーズンのミラノ・ダービーは、広州恒大と江蘇蘇寧の姉妹クラブ対決という様相になるかもしれない。

次ページ子供たちが売却を薦める一方で、父シルビオだけは……。

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